局所進行扁平上皮食道癌患者において、FP療法(5-FU、シスプラチン)による術前化学放射線療法は忍容性に優れ、効果も期待できることが、実施可能性試験で示された。埼玉県立がんセンター消化器内科の原浩樹氏らが、7月26日から28日に大阪市で開催された第10回日本臨床腫瘍学会学術集会で発表した。

 JCOG9907試験により、ステージ2-3の胸部食道扁平上皮癌患者に対し、FP療法の術前化学療法が標準治療となったが、生存成績は不十分で、より有効な治療戦略が求められていた。一方、欧米では術前化学放射線療法が標準治療の1つと考えられている。

 そこで研究グループは前向き試験として日本での実施可能性試験を行った。主要評価項目は治療の完遂率。治療完遂は、FP療法を2サイクル行い、放射線療法を41.4Gy照射、さらにR0切除ができたことと定義された。副次評価項目は全生存期間、無増悪生存期間(PFS)、R0切除率、奏効率、病理学的完全奏効(pCR)率、有害事象など。

 対象は、JCOG9907試験と同様に、ステージ2-3の胸部食道扁平上皮癌患者とした。化学療法は4週おきに、シスプラチン75mg/m2/日を第1日に、5-FU 1000mg/m2/日を第1-4日に投与し、これを2コース行った。放射線療法は1.8Gy/frを23回、総線量41.4Gyを同時照射した。照射野は原発巣とリンパ節転移、さらに所属リンパ節に対し予防的照射を行った。化学放射線療法の6-8週後に、D2以上のリンパ節郭清を伴う食道切除術が行われた。

 2010年7月から2011年6月に33人が登録し、条件を満たした31人に治療が行われた。31人全員が治療を完遂し、増悪の見られた1人を除く30人で手術が実施された。この結果、R0切除ができたのは29人、R1切除が1人だった。

 治療の完遂は31人中29人(93.5%)であった。なお治療中に減量が行われたのは31人中12人(39%)、治療スケジュールの遅延は16人(52%)だった。また化学放射線療法の終了後から手術までの期間中央値は51.5日であった。

 化学放射線療法中の主な血液毒性は、グレード3以上の白血球減少(65%)、好中球減少(65%)、貧血(19%)、血小板減少(13%)。非血液毒性は、グレード3以上の食欲不振(16%)、食道炎(16%)、悪心(10%)で、発熱性好中球減少は4人(13%)に見られた。術後合併症は肺炎(17%)、吻合部縫合不全(27%)、創感染(17%)などで、治療関連死は1人だった。

 抗腫瘍効果は、標的病変を有する18人では、CRは6%、PRは72%、SDは11%、PDが11%で、奏効率は78%と高かった。全患者では奏効率は58%となった。pCR率は42%であった。また全体でダウンステージングが77%で認められた。

 フォローアップ期間中央値453日で、1年PFS率は70.1%であった。

 これらの結果から、「術前化学放射線療法の毒性は許容範囲であり、高い有効性も期待できる」とした。この試験結果を受けて、局所進行扁平上皮食道癌患者において、術前補助療法として、CF療法、DCF療法(ドセタキセル、シスプラチン、5-FU)、およびCF療法による化学放射線療法を比較するフェーズ3試験が計画されている。