日本人の進行固形癌患者を対象にした抗ヒトPD-1モノクローナル抗体(ONO-4538)のフェーズ1試験の結果から、同剤の安全性と忍容性が確認された。国立がん研究センター中央病院呼吸器内科の山本昇氏が、7月28日まで大阪市で開催された第10回日本臨床腫瘍学会学術集会で発表した。

 PD-1(Programmed cell death 1)受容体は、T細胞上にあってT細胞の活性化を抑制する機能を持っており、自己に対する免疫反応を抑制するなどの機能が明らかにされている。免疫反応が抑制される際には、PD-1受容体にリガンドであるPD-L1が結合することが示されている。

 一方、腫瘍細胞はPD-L1を発現し、PD-1受容体と結合することで免疫反応を抑制し、免疫反応から逃れられることが明らかになってきた。抗PD-1抗体はPD-1受容体に結合することで、腫瘍細胞が発現するPD-L1やPD-L2とPD-1受容体が結合するのを阻害し、その結果として腫瘍細胞への免疫反応が起こることが期待されている。

 これまで、抗PD-1抗体を初めてヒトに投与した試験において、有害事象は管理可能だったほか、進行固形癌患者に対する臨床活性が確認されている。

 今回のフェーズ1試験は、日本人の進行固形癌患者17人を対象に、完全ヒト化抗PD-1モノクローナル抗体であるONO-4538の用量制限毒性の評価を行うとともに、部分奏効(PR)または病勢安定(SD)が得られた患者には継続投与として2週間ごとの投与による安全性と効果について評価した。
 
 対象は、20歳以上、標準的な治療の選択肢がなくなった固形癌で、4週間以内に抗癌剤による治療を行っていない患者とした。

 ONO-4538の投与スケジュールは、1、21、36日目に60分をかけて静脈注射で投与し、治療開始7週間目に評価を行った。PRまたはSDが得られた患者については、0、2、4、6、8週目にONO-4538を投与し、4週目と8週目に評価した。投与量は、1mg/kg、3mg/kg、10mg/kg、20mg/kgを設定した。

 登録患者背景は、平均年齢は57.5歳、男性10人女性7人。ECOG PS 0が4人、1が13人だった。原発巣は、非小細胞肺癌が5人、結腸直腸癌と黒色腫が4人ずつ、胸腺癌が2人、甲状腺癌と食道癌が1人ずつだった。投与量は、1mg/kgが3人、3mg/kgが5人、10mg/kgが3人、20mg/kgが3人、20mg/kgが3人だった。継続投与を行ったのは3人だった。

 用量制限毒性は、グレード4の好中球減少が7日以上継続、グレード4の血小板減少あるいはグレード3の血小板減少で輸血を必要とするもの、グレード4のインフルエンザ様症候群、グレード3の悪心、嘔吐、食欲不振、下痢以外の非血液毒性、グレード3でコントロール不能な悪心、嘔吐、食欲不振、下痢とした。

 全グレードの薬剤関連の有害事象で最も多かったのがリンパ球減少58.8%、次いで好酸球増加症が47.1%、発熱と低アルブミン血症が29.4%だった。グレード3に限ると、リンパ球減少11.8%のみだった。

 20mg/kgまでの用量で用量制限毒性は確認されず、忍容性が認められた。

 薬物動態解析から、血清中のONO-4538は徐々に低下し、投与13〜21日で半減した。AUCとCmaxの値は、1〜10mg/kgまで用量が増加するに伴い、上昇する傾向を示した。

 抗腫瘍効果では、PRが3人、SDが3人、病勢進行(PD)が11人だった。PR例の内訳は、結腸直腸癌、黒色腫、甲状腺癌。SD例は、非小細胞肺癌、胸腺癌だった。

 これらの結果から山本氏は、「日本人の進行固形癌患者に対し、ONO-4538は20mg/kgまでの投与は忍容性が認められた」とまとめ、現在、日本においていくつかの固形癌を対象にしたさらなる開発が計画されているとした。