日本人の進行固形癌患者を対象にした、インスリン様成長因子1受容体阻害薬であるBMS-754807のフェーズ1試験結果から、BMS-754807の忍容性が確認されたことが報告された。国立がん研究センター中央病院内科の田村洋輔氏が、7月28日まで大阪市で開催された第10回日本臨床腫瘍学会で発表した。

 BMS-754807は、インスリン様成長因子1受容体(IGF1R)阻害薬で、基礎的な検討では間葉系腫瘍、上皮性腫瘍、血液腫瘍などに対し、有効な可能性が報告されている。

 今回報告したのは、BMS-754807の非盲検フェーズ1試験の結果。試験は群間増量法により行った。20歳以上、ECOG PS 0または1の進行固形癌患者15人を対象に、1日1回BMS-754807を経口投与した際の最大耐容量(MTD)を検討した。外科治療または抗癌剤投与から1カ月以上経過している患者とし、除外基準は1型または2型の糖尿病患者、血糖値に対して影響のある疾患を持つ患者、空腹時血糖値が126mg/mL、HbA1c値が6.1%(JDS値)以上とした。

 4つの投与レベルを設定し、1日20mgが3人、30mgが3人、50mgが3人、100mgが6人。BMS-754807は病勢進行または耐えられない毒性が発現するまで投与し、用量制限毒性(DLT)は投与29日目まで観察した。DLTは症候性高血糖、7日以上の休薬を必要とする高血糖、ケトアシドーシス、低血糖の非経口治療、最大限の管理にもかかわらず再発した40mg/dL未満の症候性低血糖、グレード4の好中球や血小板減少、貧血、発熱性好中球減少などとした。

 患者背景は、年齢中央値が59歳(範囲:30〜69)、女性割合が73.3%。癌腫は、大腸癌が13.3%(2人)、胃癌と非細胞肺癌はそれぞれ6.7%(1人)、肉腫が53.3.%(8人)、そのほかが20.0%(3人)。患者の53.3%が前治療レジメン数が3つ以上だった。
 
 試験の結果、DLTは20mg群、30mg群、50mg群では見られなかったが、100mg群で1人確認され、14日間以上の薬剤投与中断を要する毒性であった。

 薬剤関連の有害事象は、86.7%(13人)の患者で見られた。最も多く見られた有害事象は高血糖で53.3%、次いで吐き気が40.4%だった。グレード3の有害事象としては、高血糖と血小板減少症がそれぞれ6.7%(1人)。いずれも減量や治療中止することで症状が改善した。

 抗腫瘍効果については奏効例が認められなかったが、安定状態(SD)が4人で確認された。

 薬物動態の解析結果より、BMS-754807の用量漸増とともにCmaxとAUCの数値は上昇した。さらに、BMS-754807投与量の増加に伴い、血清中のIGF-1濃度がベースラインと比べて上昇する傾向が確認された。BMS-754807の50mg、100mgの方が、20mg、30mgよりも血中IGF-1濃度が高かったことから、高用量の方がIGF-1受容体への阻害効果が高くなることが示唆された。

 これらの結果から田村氏は、「日本人患者に対し、BMS-754807は1日100mgまで忍容性があることが示唆された。フェーズ2試験における投与用量は100mgが推奨される」と語った。