皮下埋め込み型中心静脈ポートCVポート)留置に伴う合併症について、500例を対象とする検討から、CVポート留置時の合併症は1.4%、留置後の合併症は8.6%に発現し、累積使用可能率は化学療法目的の場合と比較して在宅中心静脈栄養目的の場合に低下することが示された。7月26日から28日まで大阪市で開催された第10回日本臨床腫瘍学会学術集会で、名古屋第二赤十字病院一般消化器外科の坂本英至氏が発表した。

 対象は、2007年から2011年までに同科でCVポートを留置した456人。ポート留置回数は計500ポートで、今回の検討は1回のポート留置を1例としてポート留置単位で行った。

 CVポートの留置部位は、鎖骨下を基本として489例、鼠径部9例、上腕2例だった。ポートは「Orka CV Port Kit」が495例、「P-U CELSITE PORT」が5例に使用された。前者はカテーテル先端の逆流防止弁により、ヘパリンロックが不要である。後者はカテーテル内部にヘパリンコーティングがなされており、採血も可能である。
 
 CVポートの主な留置目的は、化学療法(279例)と在宅中心静脈栄養(221例)だった。化学療法目的には、FOLFOXやFOLFIRIなどの在宅化学療法を目的とする症例と、末梢静脈の確保が困難になった症例が含まれた。患者1人当たりのポート留置回数は多くの患者で1回だったが、良性消化管疾患で在宅中心静脈栄養を行っている患者には5回と10回留置した症例が各1人含まれた。
 
 ポート留置が必要となった原因疾患では悪性腫瘍が88%を占め、内訳は大腸癌が最も多く、胃癌、乳癌が次いだ。大腸癌では在宅化学療法、胃癌では在宅中心静脈栄養、乳癌では末梢静脈の確保が目的の多数を占めた。

 留置時の合併症は計7例(1.4%)に発現し、気胸が6例(1.2%)、カテーテルの血管内迷入が1例(0.2%)だった。気胸で胸腔ドレナージが必要となったのは2例だった。

 留置後の合併症は計43例(8.6%)に発現し、このうち38例でポートの抜去を要した。内訳では、感染が18例、カテーテルまたはポートの閉塞が10例と多数を占め、いずれも抜去または入れ替えを行った。また皮膚潰瘍・創し開の5例中4例で抜去を要した。ポートが皮下で回転した4例中、3例は用手的に整復された。その他、カテーテルを留置した静脈の血栓閉塞が3例、カテーテル先の目的血管からの逸脱が3例に発現した。
 
 坂本氏が提示した症例のうち、50代前半の大腸癌の女性患者では、ポート留置後1カ月で注入不可となった。胸部X線写真を撮影すると、カテーテルが血管外に逸脱していた。立位になると乳房の尾部への移動に伴ってポートも移動し、カテーテル先端まで抜けてきており、pedunculate breastに伴う合併症であることがわかった。このような症例には、鎖骨下にできるだけ近い位置にポートを再留置し、乳房の異動による影響を避けることとした。

 合併症によりCVポートが使用できなくなった時点をイベントとし、化学療法終了に伴うポート抜去や死亡例は打ち切りとして、全500例における累積使用可能率を計算すると、1年で90.7%、2年で81.2%、3年で75%となった。

 1年、2年、3年の累積使用可能率を目的別にみると、化学療法目的ではそれぞれ96.0%、90.5%、82.7%だったのに対し、在宅中心静脈栄養目的では55.6%、34.8%、23.2%に低下していた。理由として、化学療法では2〜3週に1回の使用であるのに対し、在宅中心静脈栄養目的では毎日使用するという使用頻度の違いに加え、患者または家族が取り扱うこと、全身状態が不良な場合が多いこと、易感染性や凝固異常が存在する可能性があることなどが影響すると考えられた。