進行・再発大腸癌患者に対するカペシタビン+オキサリプラチン(XELOX)とベバシズマブの併用療法にチームアプローチを組み込んだ市販後第2相臨床試験において、平均10.7コースの治療継続性に加えて高いグレードの手足症候群(HFS)は認められないことが示され、チームアプローチは副作用の早期発見と対策の徹底、患者の不安軽減に有効と考えられた。7月26日から28日まで大阪市で開催された第10回日本臨床腫瘍学会学術集会で、藤田保健衛生大学医学部下部消化管外科の松岡宏氏が発表した。

 松岡氏らは、進行・再発大腸癌でファーストライン治療の患者35人を対象として、XELOXとベバシズマブの併用療法の安全性と有効性を評価する前向きの第2相試験を実施した。主要評価項目は全奏効率だった。

 最大の治療効果を引き出すためには、治療を継続し、コンプライアンスを遵守する必要がある。松岡氏らは、対象全例にチームアプローチによる患者サポートを行い、副作用をマネジメントし、安易な休薬・減量を回避し、服薬を確認することとした。

 チーム内における役割として、看護師は投薬前からHFSに対するスキンケアを患者と家族に実践指導し、患者背景を聴取し、各コースでケアの実践の程度や自覚的な副作用の発現状況などに関するアンケートを実施した。さらに患者宅へ週1回電話連絡を行い、情報収集と日常生活指導を行った。電話連絡は1回3分から20分で、HFS・末梢神経障害・下痢・その他の副作用、服薬コンプライアンス、セルフケアコンプライアンスを確認し、HFSに対するスキンケアやその他の副作用発現時の対処方法、仕事や日常生活で注意すべき点を指導した。来院時は手足の写真撮影とセルフケアの復習を行った。
 
 薬剤師はレジメンを説明し、副作用に対する支持療法製剤の使い方を説明するとともに、スケジュール帳の書き方を患者に指導、来院時はアドヒアランスと補助薬剤の使用状況を確認し、末梢血管投与例では混注ステロイド剤の調整も行った。患者情報は、医師、薬剤師、看護師が共有することを前提とし、毎週1日、XELOXミーティングを開いている。

 2012年4月の時点で、ファーストライン治療として8コース以上経過した35人において、完全奏効(CR)は3人、部分奏効(PR)は20人で得られ、奏効率は65.7%となった。病勢コントロール率(DCR)は88.6%だった。無増悪生存期間(PFS)中央値は11.7カ月となった。
 
 コース数の平均は10.7だった。相対的用量強度は4コースではカペシタビン91.2%、オキサリプラチン92.4%と両剤で90%を超え、6コースではそれぞれ91%と89.2%、8コースでは83.3%と66.6%だった。日本人におけるXELOXとベバシズマブの併用療法を検討したJO19380試験のカペシタビン74%、オキサリプラチン86%と比較しても、高い値で維持されたと考えられる。

 グレード3以上の副作用では、末梢神経障害が9.3%、下痢が5%、肺動脈血栓塞栓が2.5%に発現した。予防を目標としていたHFSではグレード3以上の事象は発現しなかった。これまでの報告と比較して良好な傾向だった。

 カペシタビンで1段階減量したのは22.7%、2段階減量したのは5.7%、オキサリプラチンではそれぞれ48.6%と28.6%だった。8コースまでに減量、中止を要した患者は8人で、このうち4人は電話連絡がきっかけとなり中止を決定した。電話連絡についての満足度アンケートでは、有効回答中100%の患者が「大変よい」と答え、今後も電話連絡を希望した。

 松岡氏はチームアプローチによるメリットとして、診察時間だけでは得られない情報量が得られ、患者の安心感につながり、より高度な副作用対策が可能となることをあげ、「治療成績は従来の報告と大きく変わるものではないが、発見や減量の遅れにより重度の副作用をきたす症例を減らすことができたと考える」と話した。