日本人の進行非小細胞肺癌患者を対象に、カルボプラチン+パクリタキセル併用療法に対するlinifanib追加投与の検討を行ったフェーズ1試験において、linifanib+CP療法は忍容性があることが示された。近畿大学医学部奈良病院腫瘍内科の寺嶋応顕氏が、7月26日から大阪市で開催された第10回日本臨床腫瘍学会で発表した。

 linifanib(ABT-869)は、血管内皮増殖因子受容体(VEGFR)や血小板増殖因子受容体(PDGFR)を選択的に阻害するチロシンキナーゼ阻害薬で、進行または転移性の非小細胞肺癌の標準治療であるカルボプラチン+パクリタキセル併用療法(CP療法)への追加投与が検討されている。前臨床試験から、linifanibはCP療法の治療効果を増強することが報告されている。

 今回報告されたのは、非盲検の多施設フェーズ1試験の結果で、日本人の進行非小細胞肺癌患者12人を対象にlinifanibのCP療法における安全性、忍容性と薬物動態を評価したもの。

 対象は、20歳以上のECOG PSが0または1の未治療非小細胞肺癌患者。3週間以内に非小細胞肺癌治療の抗癌剤を服薬または放射線治療や外科手術を実施した患者や、血圧が140/90mmHg以上、左室駆出分画が50%未満の患者は除外した。

 治療スケジュールは、カルボプラチン(AUC 6mg/mL/min)とパクリタキセル(200mg/m2)を3週間ごとに投与し、linifanibは1サイクル目の3日目から7.5mgまたは12.5mgを、病勢進行または許容できない毒性が発現するまで毎日経口投与した。linifanibに関連する有害事象が発現した場合は、2.5mgごとに投与量を減量または中止した。胸腹部のCT撮影は2サイクル(6週間)おきに行った。

 2012年3月29日までのデータで解析し、linifanib 7.5mg、12.5mgを投与する患者をそれぞれ6人ずつ登録した。年齢中央値はlinifanib 7.5mg群が65歳、linifanib 12.5mg群が56歳。喫煙率はlinifanib 7.5mg群が67%、linifanib 12.5mg群が83%。組織型は全員、非扁平上皮癌だった。

 linifanib+CP療法の治療期間中央値は3サイクル(1〜6サイクル)、linifanibの治療期間中央値は4サイクル(1〜21サイクル)。

 重篤な有害事象は、1人の患者において2サイクル目に発熱性好中球減少症が確認された。

 全患者でlinifanib+CP療法の中止または遅延があり、その主な理由は血小板減少症(9人)、好中球減少症(6人)、白血球減少症(4人)だった。

 また、linifanib 7.5mg群の治療中断理由は、病勢進行が5人、有害事象が1人、linifanib 12.5mg群では、病勢進行が1人、有害事象が4人。どちらの群もグレード4の血小板減少症による用量制限毒性が認められた。

 薬物動態の解析結果から、CP療法との併用でlinifanibおよびパクリタキセルのCmaxとAUCが上昇する傾向が確認された。

 また、抗腫瘍効果は全ての患者(12人)で確認され、うち9人で部分寛解となった(linifanib 7.5mgが5人、linifanib 12.5mg群が4人)。打ち切り時のデータにおける無増悪生存期間中央値は7.3カ月(95%信頼区間:1.9-15.2)だった。

 寺嶋氏は、これらのデータを踏まえ、「日本人の進行非小細胞肺癌患者へのlinifanib+CP療法は忍容性があることが示唆された」と語った。