H2、H3の大腸癌肝限局性転移に対する術前mFOLFOX6+ベバシズマブ併用療法は安全かつ効果的で、高い肝切除率につながる可能性があることが、九州消化器癌化学療法研究会(KSCC)による前向きの多施設共同フェーズ2試験(KSCC 0802)から示された。7月26日から28日まで大阪市で開催されている第10回日本臨床腫瘍学会学術集会で、久留米大学医学部消化器外科の赤木由人氏が発表した。

 赤木氏らは、H2およびH3の肝限局性転移を有する大腸癌に対する術前化学療法として、mFOLFOX6とベバシズマブの併用療法の有効性と安全性を検討した。主要評価項目は肝切除施行割合(推定値30%)、副次的評価項目はH2およびH3の症例における肝切除率などだった。

 対象は、肝臓にのみ測定可能病変が1個以上存在し、その他の遠隔転移や再発は認めない大腸癌患者。化学療法および放射線療法の治療歴はないこととした。

 術前化学療法として、mFOLFOX6+ベバジスマブ併用療法を原則として5コース行うこととした。5コース終了後に肝転移巣の治癒的切除が可能と判断された症例にはmFOLFOX6のみを1コース行い、再度肝切除の可否を評価した後、肝切除を行った。肝切除時期の目安として、ベバシズマブの最終投与から6週以上9週以内、かつmFOLFOX6最終投与から2週以上間隔をあけることとした。

 2008年5月から2010年4月までに40人(年齢中央値63歳、男性72.5%)が登録された。PS 0の患者は95.0%、原発巣では結腸が62.5%を占めた。肝転移巣の腫瘍最大径中央値は52.5mm、病巣数中央値は5個で、H2は75%、H3は25%だった。

 治療サイクル数中央値は6だった。すべての薬剤で相対用量強度の中央値が80%を超え、オキサリプラチンとロイコボリンがそれぞれ90.1%、5-FUは急速静注が90.9%、持続静注が90.8%、ベバシズマブが88.6%となった。

 その結果、部分奏効(PR)は12人(30.0%)、病勢安定(SD)は22人(55.0%)に得られ、奏効率は30.0%だった。
 
 肝切除は17人に行われ、肝切除施行割合は42.5%となった。このうち1人は肝内胆管癌と診断されたため、16人について検討すると、H2症例における肝切除率は46.7%、H3症例における肝切除率は20%となった。R0切除率は30%だった。
 
 16人において、類洞拡張を12.5%、脂肪肝を18.8%に認めたが、その他の重篤な合併症は認めなかった。術後合併症として、感染症は18.8%、合併症(胆汁漏、創し開)も18.8%に発現した。肝転移巣の癌遺残は、肉眼的所見では、sR0が75.0%、RFAが行われたためsR2とされた症例が25.0%だった。病理所見ではpR0は62.5%だった。組織学的効果のGrade2は43.8%で得られていた。

 グレード3以上の血液毒性として、白血球減少が10%、好中球減少が32.5%、非血液毒性として、発熱性好中球減少が5.0%、倦怠感/疲労感が2.5%、下痢が2.5%、ASTまたはALTの上昇が各2.5%、口内炎・イレウス・食欲不振が各2.5%に発現した。

 肝切除例における無再発生存期間中央値は11カ月、1.5年の無再発生存率は35.3%だった。全生存期間は中央値に未到達であるが、2年全生存率は59.4%だった。

 赤木氏によると、奏効率が30%だったのに対し肝切除施行割合が42.5%と、肝切除施行割合が奏効率を上回った背景には、肝転移に対する切除可能・切除不能の判定が施設間で異なっており、対象には当初から切除可能な患者が含まれていた可能性があるとし、この点については今後解析する予定とした。