転移性大腸癌のファーストライン治療として、IRIS療法(イリノテカンS-1)とベバシズマブの併用は有効性が高く、また切除率も良好であることが、HGCSG(北海道消化器癌化学療法研究会)によるフェーズ2試験の追加解析から明らかになった。7月26日から28日に大阪市で開催されている第10回日本臨床腫瘍学会学術集会のワークショップ「胃癌・大腸癌における薬物療法の進歩による手術適応の拡大」で、北海道大学消化器内科学の結城敏志氏らが発表した。

 このフェーズ2試験は国内9施設で行われ、53人の患者が登録された。試験の主要評価項目は安全性と毒性、副次評価項目は奏効率、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)、治療プロトコールの完遂率と設定された。

 治療は、S-1を2週投与2週休薬のスケジュールで体表面積に応じて40mgから60mgを1日2回投与。イリノテカンは100mg/m2、ベバシズマブは5mg/kgを1日目と15日目に、28日おきに投与した。

 1人の患者が治療を拒否したため、52人のデータが解析された。フォローアップ期間中央値は47.0カ月。今回の解析のカットオフ時点(2012年4月30日)で、各患者のフォローアップは3年以上であった。

 抗腫瘍効果は完全奏効(CR)が3人、部分奏効(PR)が30人、安定状態(SD)が16人、増悪(PD)は0人で、奏効率は63.5%(95%信頼区間:50.4-76.5)、病勢制御率は94.2%となった。PFS中央値は17.0カ月(同14.2-19.8)、OS中央値は39.6カ月(同36.3-42.9)だった。安全性については、主なグレード3以上の有害事象は、好中球減少(27%)、高血圧(21%)、下痢(17%)、貧血(12%)だった。

 また今回の解析では新たに手術での切除率が解析された。その結果、R0切除は7人(13.5%)で行われていた。また肝限局転移(LLD)例13人に限ると、薬物療法による奏効率は69.2%、R0切除は4人(30.8%)だった。

 この結果をIRIS療法のフェーズ2試験(対象40人)の結果と比べるため、新たに解析したところ、IRIS療法の奏効率は52.5%、R0切除率は7.5%。LLD例(10人)での奏効率は60%、R0切除率は10%だった。

 IRIS療法のフェーズ2試験と今回のIRIS+ベバシズマブ併用療法のフェーズ2試験の結果との間に有意差はなかったが、IRIS療法+ベバシズマブ併用のほうが奏効率と切除率は高い傾向が見られた。

 今回のIRIS療法+ベバシズマブ併用療法の試験の結果を受け、現在、転移性大腸癌を対象に、IRIS+ベバシズマブ併用療法と、オキサリプラチンを含むレジメン(mFOLFOX6、XELOX)+ベバシズマブ併用療法を比較する無作為化フェーズ3試験(TRICOLORE試験)が開始されている。患者登録予定数は450人、主要評価項目はPFSと設定された。