オキシコドン速効製剤(商品名:オキノーム散)を用いた3日型フェンタニル貼付剤(商品名:デュロテップMTパッチ)への早期タイトレーションは、安全かつ簡便に行える可能性が示された。7月21日から23日にかけて横浜市で開催された第9回日本臨床腫瘍学会学術集会で、社会医療法人生長会ベルランド総合病院外科・乳腺外科の山崎圭一氏が発表した。

 デュロテップMTパッチは、他のオピオイド鎮痛薬から切り替えて使用される。長時間作用型であるため、血中動態が安定するまでに約12〜24時間を必要とする。

 山崎氏らは、速効性オピオイド製剤でのタイトレーション法で用量設定を行い、短期間で適切な鎮痛用量を設定し、デュロテップMTパッチに切り替えた症例を検討した。

 山崎氏によると、検討の背景には、消化器癌や乳癌の患者、高齢の患者では便秘症が多くみられ、オピオイドの副作用の便秘には特に配慮が必要と考えたことがあったという。オピオイドの中で、フェンタニルはモルヒネと比べて鎮痛効果は同等で、便秘が少ない可能性がある。

 また貼付剤にすることで経口摂取が不能となった場合も継続可能で、内服の薬剤量を減らすこともできる。さらに3日に1回の貼り替えですむため、患者が精神的なストレスから解放される時間が長くなる。医療者や介護者の手間を減らせると患者が希望することもある。

 検討の対象は、中等度から高度の癌性疼痛を訴え、0〜10の11段階で疼痛の程度を評価するNumerical Rating Scale(NRS)で、4以上のオピオイド鎮痛薬を必要とする患者7人(年齢中央値62歳、男性3人)。肝細胞癌の骨転移とリンパ節転移、膵癌の肝転移と骨転移、乳癌の骨転移、食道癌の骨転移などの症例が含まれた。PSは0または1だった。前投与薬として、ロキソプロフェンまたはエトドラクが投与されていた。

 対象にはオキノーム散5mg/回を1日4回定期投与し、レスキュードーズも同量とした。オキノーム散で対応できうるオピオイド反応性の痛みかどうかを判断し、切り替え基準を満たした時点でデュロテップMTパッチへの換算表を用いて用量を決定し、切り替えることとした。

 切り替え基準は、定時投与のオキノームの1日総投与量が2日間変化なし、非オピオイド鎮痛剤および鎮痛補助薬などの新規投与、用法の変更や増量がない、有害事象が患者に確認できるもの――とした。切り替え後は、患者の疼痛程度、レスキュー量を考慮し増量した。

 ただし、デュロテップMTパッチの初回貼付時は、貼付後約12時間は疼痛コントロールが可能な有効血中濃度に達しない可能性があるため、初回貼付後に疼痛が出現した場合はオキノーム散5mg/回を投与して対応した。

 7人全員で、デュロテップMTパッチの切り替えまでの日数は2日だった。疼痛はNRS6以上から全例がNRS2以下に減少し、コントロール可能だった。副作用はみられなかった。

 デュロテップMTパッチの初回導入から増量期間までの平均日数は105.4日だった。3人は健在で4人は死亡したが、死亡に近い日まで増量は不要の状態で経過していた。デュロテップMTパッチ初回導入から死亡までの期間平均日数は201.1日だった。

 山崎氏は、「オキノームを用いたデュロテップMTパッチへの早期タイトレーションは安全で簡便に行うことが可能で、非常に有効と考える」と話した。今後の課題として、今回の症例が全て入院患者だったことから、QOL重視の観点から外来患者にも行うこと、症例数を増やした試験を実施する必要があることを挙げた。