癌化学療法に伴う味覚変化は治療初期から発生し、使用するレジメンや薬剤により発生率が異なることがアンケートによる実態調査から明らかになり、患者に適切な情報提供を行う必要性が示された。7月21日から23日に横浜市で開催された第9回日本臨床腫瘍学会学術集会で、独立行政法人国立病院機構四国がんセンター薬剤科の田頭尚士氏が発表した。

 癌化学療法の副作用において、味覚変化は他の副作用と比較すると十分な対処が行われていない。大規模な調査は行われておらず、詳細が不明な部分も多い。今回、田頭氏らは、味覚変化の発生状況を明らかにし、対処法や情報提供の充実化を図ることを目的としてアンケートによる実態調査を行い、結果を報告した。

 アンケート調査の対象は、2010年6月から7月までに、同センターで外来癌化学療法を施行した患者381人。

 味覚変化は患者の177人(47%)に発生し、このうち男性は43人、女性は134人だった。

 診療科別でみると、乳腺外科(56.8%)、血液腫瘍科(58.8%)、消化器外科(50.0%)で発生割合が高い傾向がみられた。前治療歴の有無による発生割合の差はなかった。

 サイクル別でみると、味覚変化は1サイクル目から発生しており、サイクル数を重ねてもほぼ同様の割合で発生していた。前治療歴の有無で分けてみても同様で、どのサイクルで発生しやすいかの特定はできなかった。

 レジメン別にみると、発生割合が高かったのはエピルビシン+シクロホスファミド(EC)で84.6%だった。ドセタキセル(DTX)±トラスツズマブの81.1%、ベバシズマブ+パクリタキセル(PTX)の75.0%、ドセタキセル+シクロホスファミド(TC)±トラスツズマブの74.1%、フルオロウラシル+エピルビシン+シクロホスファミド(FEC)の66.7%が続いた。田頭氏は「n数が少ないためばらつきがあり、発生割合が高いレジメンの特定には至っていない」とした。

 薬剤別では、エピルビシン78.9%、シクロホスファミド75.0%、ドセタキセル73.2%で高い値だった。S-1は62.5%だった。添付文書に記載されている副作用の発現頻度と比べると、今回の検討から、味覚変化を多くの患者が訴えていることが示された。

 発生時期については、化学療法の開始2〜3日目が26%、4〜7日目が30%、8〜14日目が12%、15日目以降が9%とばらつきがみられた。味覚変化が続いたのは、2〜3日目までが4%、4〜7日目までが18%、8〜15日目までが22%、16〜28日目までが19%だった。

 これらの結果から、味覚変化は治療歴の有無に関わらず治療初期から発生し、発生しやすい時期の特定は難しいことがわかった。田頭氏は「味覚変化を正確に理解してもらうことが大切」と話した。

 現時点では味覚変化に対する有効な薬剤はないが、食事への影響が大きいことから、「食事や日常生活での対処の充実化のためにも、他職種との連携を強化していく必要がある」(田頭氏)。同センターでは栄養科と連携し、症状別のレシピを作成するなどの対処を行っているという。