進行上咽頭癌に対し、ドセタキセルシスプラチンS-1の併用(TPS)を導入療法として化学放射線療法に加えることで、毒性を強めることなく、高い抗腫瘍効果を示すことがわかった。7月21日から23日に横浜市で開催された第9回日本臨床腫瘍学会学術集会で、国立がん研究センター東病院消化管腫瘍科の山崎知子氏らが発表した。

 研究グループでは頭頸部癌患者を対象としたフェーズ1試験で、導入療法としてのTPSの有効性を報告している。

 今回の報告では、リンパ節転移を有している上咽頭癌に対し、TPSによる導入療法と化学放射線療法を行った患者23人を対象に有効性が検討された。対象にはフェーズ1試験の登録者も含まれる。23人の平均年齢は46.8歳(18-73歳)、PS 0が16人、PS 1が7人、ステージ2Bが1人、ステージ3が6人、ステージ4Aが11人、ステージ4Bが5人だった。

 TPSでは、3-4週おきにドセタキセルは60-70mg/m2/日を、シスプラチンは60-70mg /m2/日を第1日に投与し、S-1は60-80mg/m2/日を第1日から第14日まで投与した。TPSは最大3コース行った。化学放射線療法では、シスプラチン20mg/m2/日を、第1-4日、第22-25日、第43-46日に分割静注し、放射線療法は2Gy/fr/日(総照射量は66-70Gy)とした。

 TPSの治療サイクル数は平均で2.7回、化学放射線療法は全員が完遂した。

 RECIST基準による抗腫瘍効果は、TPS後は完全奏効(CR)が1人、部分奏効(PR)が21人、病勢安定(SD)が1人で、奏効率は96%だった。化学放射線療法後は、CRが16人、PRが7人で、CR率は70%、奏効率は100%となった。

 フォローアップ期間中央値28カ月で、2年無増悪生存率は64%だった。

 TPSの血液毒性は、グレード3/4の白血球減少と好中球減少が各21%、発熱性好中球減少と血小板減少が各4%、化学放射線療法では、グレード3/4の好中球減少が13%、貧血が21%、血小板減少が8%だった。非血液毒性は、TPSではグレード3の食欲不振、下痢が各1人、化学放射線療法ではグレード3の食欲不振が3人、嘔吐、悪心が各1人、口内炎が12人で、グレード4はなかった。

 今後、導入療法+化学放射線療法と化学放射線療法単独とを比較する試験を計画しているという。