新規経口ヌクレオシド製剤TAS-102は、標準的な化学療法がすべて無効な転移のある大腸癌で生存期間を有意に延長させることが、TAS-102とプラセボを比較した多施設共同無作為化二重盲検フェーズ2試験(10040030)で明らかになった。7月21日から23日に横浜市で開催された第9回日本臨床腫瘍学会学術集会で、静岡がんセンター消化器内科の山崎健太郎氏が発表した。

 TAS-102は、トリフルオロチミジンとその分解酵素であるチミジンホスホリラーゼの阻害剤が1対0.5の比率で配された製剤。転移性大腸癌患者18人を含む進行固形癌患者21人を対象にしたフェーズ1試験で、推奨用量は70mg/m2/日と決定され、転移性大腸癌患者における病勢制御率は50%と報告された。

 フェーズ2試験の対象は、2レジメン以上の治療歴があり、フルオロピリミジンやイリノテカン、オキサリプラチンに抵抗性・不耐性の転移性大腸癌患者。患者をTAS-102群とプラセボ群に2:1に割り付けた。TAS-102は70mg/m2/日を1日に2回、第1-5日、第8-12日に、4週おきに投与し、病勢進行または重篤な有害事象が認められるまで継続した。主要評価項目は全生存期間(OS)、副次評価項目は無増悪生存期間(PFS)、治療成功期間(TTF)病勢制御率、奏効率、安全性、KRAS変異の有無による有効性と設定された。

 転移性大腸癌患者172人が登録され、170人が治療を受けた。169人で治療効果が評価され、このうちTAS-102群が112人、プラセボ群が57人だった。2群の患者背景に有意な違いはなかった。

 前治療は、2レジメンがTAS-102群は15.2%、プラセボ群が22.8%、3レジメン以上がそれぞれ84.8%、77.2%を占めた。またFOLFOXベースのレジメンはTAS-102群で98.2%、プラセボ群が100%、FOLFIRIベースのレジメンがそれぞれ87.5%、82.5%、ベバシズマブの使用は77.7%、82.5%だった。KRAS野生型の患者では抗EGFR抗体の使用がTAS-102群(54人)では90.7%、プラセボ群(24人)では95.8%であり、「有効な治療薬がない患者が登録されていた」と山崎氏。

 相対用量強度の中央値はTAS-102群が85.7%、プラセボ群が100%で、サイクル数の中央値はそれぞれ3回、1回であり、用量の減量がTAS-102群では19.6%、投与中断が31.3%だった。

 この結果、OS中央値はTAS-102群が9.0カ月、プラセボ群が6.6カ月で、ハザード比は0.56、95%信頼区間0.39-0.81、p値は0.0011(層別ログランク検定)と、TAS-102群で有意にOSは延長した。

 PFS中央値は、独立評価委員会の判定ではTAS-102群が2カ月、プラセボ群が1カ月で、ハザード比は0.41、95%信頼区間0.28-0.59、p<0.0001、治験実施グループ判定ではそれぞれ2.7カ月、1.0カ月、ハザード比は0.35、95%信頼区間0.25-0.50、p<0.0001だった。また独立評価委員会によるTTFはそれぞれ1.9カ月、1.0カ月、ハザード比は0.40、p<0.0001となった。

 独立評価委員会の判定によるTAS-102群の奏効率は0.9%、病勢制御率は43.8%であり、プラセボ群は10.5%だった。

 TAS-102群における主なグレード3/4の有害事象は、好中球減少が50.4%、白血球減少が28.3%、貧血が16.8%、リンパ球減少が9.7%で、倦怠感が6.2%、下痢が6.2%、発熱性好中球減少は4.4%で、「TAS-102は忍容性があり、治療関連死はなかった」と山崎氏は述べた。

 また治療後にフルオロピリミジンやイリノテカン、オキサリプラチン、ベバシズマブ、抗EGFR抗体による後治療を受けた患者はTAS-102群で41.1%、プラセボ群で45.6%であった。

 今後、大腸癌を対象にしたフェーズ3試験が計画されているという。