全身化学療法と手術、放射線療法による集学的治療によって、かつては予後不良だったユーイング肉腫患者の生存期間は改善されていることが、局所ユーイング肉腫ファミリー腫瘍(ESFT)を対象にした初めてのプロスペクティブなフェーズ2試験(JESS 04)で明らかになった。日本ユーイング肉腫研究グループを代表して、日本大学医学部附属板橋病院小児科の陳基明氏が、7月21日から23日に横浜市で開催された第9回日本臨床腫瘍学会学術集会で発表した。

 ユーイング肉腫は、骨や軟部組織に起こる腫瘍で、主に小児期や青年期に発生する。骨外性ユーイング肉腫やアスキン腫瘍、原始神経外胚葉腫瘍(PNET)で、共通の染色体異常があることから、ユーイング肉腫ファミリー腫瘍(ESFT)と呼ばれている。治療は、全身化学療法と手術、放射線療法が行われる。化学療法ではビンクリスチンやドキソルビシン、シクロホスファミド、イホスファミド、エトポシドなどが使用される。

 フェーズ2試験は、30歳以下の局所ユーイング肉腫ファミリー腫瘍患者を対象とし、主要評価項目は3年無病生存率(EFS)、副次評価項目は有害事象、3年生存率、11週時点の化学療法への組織学的奏効性と設定された。

 53人が登録し、うち男性が30人、女性が23人で、中央病理診断でESFTと判断された患者は46人だった。0から5歳が3人、6から10歳が7人、11から15歳が16人、16から20歳が11人、21から30歳が9人だった。腫瘍部位は頭骨、肋骨、骨盤、骨外、上肢、脊椎、下肢であった。

 治療は、導入療法の後、手術可能だった患者(A群)には手術を、手術不能だった患者(B群)には局所照射を行った。評価できた患者のうち、A群で術後化学療法を行った患者(A-1群)は17人、術後に切除縁と組織学的反応性から判断して局所照射を行い、その後に化学療法を行った患者(A-2群)が4人。B群では照射後に化学療法を行った患者(B-1群)は17人、照射後に手術可能になり手術を行い、その後化学療法を行った患者(B-2群)が3人だった。

 導入療法および術後の化学療法で使用された化学療法は、VDC療法(ビンクリスチン、ドキソルビシン、シクロホスファミド)あるいはIE療法(イホスファミド、エトポシド)。その後の維持療法ではVC療法(ビンクリスチン、シクロホスファミド)やIE療法が使用された。

 A-1群17人のうち再発したのは5人で、局所再発が1人、遠隔転移が3人、局所再発と遠隔転移が1人だった。A-2群4人では3人が再発し、すべて遠隔転移だった。B-1群17人では5人が再発し、局所再発が3人、遠隔転移が2人、B-2群3人では遠隔転移が1人だった。多くの患者は治療終了後に再発していた。なおA-1群の局所再発の2人では手術縁が十分に評価されていなかったこと、B-1群の局所再発の3人では放射線療法が不十分だったことが再発の原因と考えられたという。

 現在までの3年生存率は77.3%、3年無病生存率は77.4%だった。重篤な有害事象は見られなかったことから「局所ユーイング肉腫の標準的治療として施行可能である」と述べた。
 
 ただし二次癌が3人で見られ、B-1群で治療開始から24カ月に骨髄異型性症候群(MDS)が1人、急性リンパ性白血病(ALL)が1人、A-1群で60カ月に骨肉腫が1人だった。「白血病の発症はドキソルビシンやアルキル化剤、エトポシドとの関連が示唆される」とし、「別の薬剤に変更するなどの対応が今後は必要だろう」と述べた。

 今後、治療成績の向上には、導入療法における投与スケジュールを現在の3週おきから2週おきに変更する、保険適応外だがトポテカンを使用するなどの対応を考えているという。