非小細胞肺癌の脳転移巣に対し、ペメトレキセド単剤は腫瘍制御効果があり、特に脳転移に対する放射線療法治療歴のない患者では効果が高いことがレトロスペクティブな解析で明らかになった。7月21日から23日に横浜市で開催された第9回日本臨床腫瘍学会学術集会で、静岡がんセンター呼吸器内科の津谷あす香氏が発表した。

 非小細胞肺癌患者において脳転移は20%から40%に認められ、症候性の脳転移には全脳照射(WBRT)や定位手術的照射(SRS)が勧められている。一方、無症候性の脳転移では全身化学療法の有効性が報告されている。

 そこで津谷氏らは、脳転移を有する非小細胞肺癌患者で、ペメトレキセドの効果を検討した。対象は、2010年2月から2011年1月までにペメトレキセド単剤による治療を受けた非小細胞肺癌患者92人のうち、脳転移があった25人。年齢中央値は65歳(28-82歳)、男性が14人、女性が11人。全員が腺癌で、EGFR変異陽性が7人、前治療レジメン数の中央値は2レジメン。ペメトレキセド治療前に放射線療法を受けた患者は18人、脳転移の単発例は2人、多発例が23人。ペメトレキセドの投与コース中央値は4コースだった。

 抗腫瘍効果は、全体では部分奏効(PR)が2人、病勢安定(SD)が10人、病勢進行(PD)が9人、評価不能(NE)が4人で、奏効率は8%、病勢制御率は48%だった。脳転移巣に対する抗腫瘍効果は、完全奏効(CR)が2人、PRが2人、SDが13人、PDが2人、NEが6人で、奏効率は16%、病勢制御率は68%だった。脳転移外に対する奏効率は12%、病勢制御率は72%だった。

 また脳転移に対する放射線療法の治療歴がない、あるいは放射線療法後に脳転移増悪が見られた患者11人において、脳転移巣に対するペメトレキセドの抗腫瘍効果は、CRが1人、PRが2人、SDが6人、PDが0人、NEが2人で、奏効率は27.3%、病勢制御率は81.8%だった。脳転移外に対する奏効率は18.2%、病勢制御率は72.7%、全体では奏効率18.2%、病勢制御率は54.5%だった。

 脳転移に対して抗腫瘍効果が見られた4人では、2人がWBRTを受けていた。25人の全生存期間中央値は11カ月、無増悪生存期間中央値は8.5カ月だった。

 グレード3の有害事象は白血球減少が1人、好中球減少が2人、貧血が2人、発熱性好中球減少が1人、皮疹が2人、感染症が1人、GPT上昇が2人だった。グレード4の有害事象はなかった。