KRAS野生型の切除不能な進行再発大腸癌患者において、S-1とイリノテカン(CPT-11)、セツキシマブの併用(CeIRIS)療法は、毒性、抗腫瘍活性ともに受容可能な範囲であることが、フェーズ1/2試験(KOMG0901試験)の結果から示された。7月21日から23日にかけて横浜市で開催されている第9回日本臨床腫瘍学会学術集会で、九州がんセンター消化管・腫瘍内科の牧山明資氏が発表した。

 KRAS野生型の切除不能な進行再発大腸癌に対する抗EGFR抗体とFOLFOXまたはFOLFIRIの併用療法は有用な治療法として確立しており、抗EGFR抗体は一次治療で未使用の場合、二次治療、三次治療で使用することが推奨されている。また二次治療で抗EGFR抗体の有用性を検証した試験では、CPT-11ベースとの併用が推奨されている。

 IRIS療法は国内で数種類のレジメンが開発されており、有効性は同等と報告されている。牧山氏らのグループが行った進行・再発結腸・直腸癌に対するCPT-11とS-1を併用するフェーズ1/2試験では、グレード3以上の下痢の発現頻度は2.5%のみであった。

 今回、牧山氏らは、二次治療においてCeIRIS療法の有用性と代替性を探索的に検討するフェーズ1/2試験(KOMG0901試験)を実施し、結果を報告した。同試験の主要評価項目は、最大耐用量(MTD)と用量制限毒性(DLT)を決定することだった。

 対象は、切除不能な進行再発大腸癌で、初回化学療法のフッ化ピリミジン系薬剤とオキサリプラチンに不応・不耐となり、抗EGFR抗体による治療歴がない患者とした。KRAS野生型、UGT1A1が野生型またはシングルへテロ型であることとした。

 治療は21日を1サイクルとして、S-1は2週投与、1週休薬とし、セツキシマブは1、8、15日目に投与し、CPT-11は1、8日目に投与した。

 投与量は、セツキシマブでは初回は400mg/m2、2回目以降は250mg/m2とした。過去に行った試験から、同氏らはS-1 80mg/m2、CPT-11 80mg/m2を推奨量(RS)として決定していたが、3剤併用が初めての試みであったため、これらの用量をレベル2とし、S-1とCPT-11の用量を抑えたレベルをさらに二段階設定し、今回はそのうちレベル1としたセツキシマブ400mg/m2、S-1 65mg/m2、CPT-11 80mg/m2から開始した。

 レベル1、2に各3人が割り付けられ、年齢中央値はそれぞれ63歳と60歳、男女比は3対0、2対1だった。転移部位では肺、肝臓が多かった。前治療は、レベル1ではFOLFOXが1人、FOLFIRIが2人、レベル2では全員FOLFOXだった。ベバシズマブが含まれたのは、レベル1が33%、レベル2が67%だった。

 いずれのレベルにもDLTは発現しなかった。グレード3の疲労感がレベル1で1人に発現したが、レベル1、2ともMTDに到達しなかった。そのため、RDはレベル2の用量となった。

 血液毒性として、レベル1では貧血が3人(100%)にみられたが、グレード3以上のものはなかった。レベル2では好中球減少が1人(33%)、貧血が2人(67%)にみられたが、グレード3以上のものはなかった。

 非血液毒性として、皮膚毒性が全員に発現したが、グレード3以上のものはなかった。懸念された下痢は、すべてグレード1または2で、レベル1で2人(67%)、レベル2で1人(33%)に発現した。グレード3以上の疲労感はレベル1で1人(33%)にみられた。
 
 予備的に観察された奏効は、完全奏効(CR)、部分奏効(PR)は認められなかった。安定状態(SD)がレベル1で1人(33%)、レベル2で3人(100%)に認められ、全体の病勢コントロール率(DCR)は67%となった。

 牧山氏は、本試験のRDによるフェーズ2試験がすでに進行中であると話した。