日本では、肺癌に対しての認知度は高いが、肺癌患者への共感は低く、今後は患者への共感を培うアドボカシー(支援)が重要になることが、世界15カ国で実施された国際肺癌連盟(Global Lung Cancer Coalition:GLCC)と西日本がん研究機構(WJOG)の調査で明らかになった。7月21日から23日に横浜市で開催されている第9回日本臨床腫瘍学会学術集会で、岐阜市民病院呼吸器内科・腫瘍内科の澤祥幸氏が発表した。

 GLCCでは肺癌を理解し、患者が効果的な治療やサポートケアを受けられるように支援している。WJOGでも臨床試験の実施に加え、患者アドボカシーの一環として、適切な情報の提供、公開講座の開催、肺癌患者向けガイドブックの出版等を行っている。WJOGが日本でのGLCCの窓口になっている。

 この調査は、肺癌の認知度と患者アドボカシーに関しての活動のアウトカムを評価するために行われた。GLCCが全世界で共通で行った初めての調査で、昨年2月におよそ1万6000人が対象になった。実施国は、アルゼンチン、オーストラリア、ブラジル、カナダ、英国、イタリア、日本、ノルウエー、スペイン、デンマーク、スイス、スロベニア、スウェーデン、オランダ、米国。

 このうち日本は1272人がインタビューに答えた。まず、癌の中で死亡数が多い癌を2つ選ぶ質問では、大腸癌と答えた人が67%と最も多く、続いて肺癌が65%、乳癌が31%であった。

 これを他の国と比較すると、肺癌を選んだ人の割合は日本とノルウエーがともに65%で、15カ国の中で最も高く、肺癌の認知度は高いことが示された。またサブグループに分けると、男性は71%、女性では59%、年齢別では65歳未満が68%、65歳以上は55%。学歴で比べると、高学歴ほど比率は高かった。

 次に、肺癌は喫煙と関連することを記した上で、他の癌種に比べて肺癌になった人に対して共感(sympathy)を持つかどうかを尋ねた。その結果、共感すると答えたのは20%、共感しないが32%、どちらでもないが44%であった。

 全世界では、共感すると答えた人が、オーストラリアが29%で最も高く、日本は7位だった。これについて澤氏は、「禁煙の重要性が十分に認識された中での、否定的な見方なのではないか」と述べた。

 また今回の調査から、「これまでは肺癌の認知に力を入れてきたが、今後は肺癌になった人に対するアドボカシーの中で、患者への共感を培っていく必要がある」と話した。GLCCの調査は4年後にも実施される予定だ。