進行・再発非小細胞肺癌NSCLC、扁平上皮癌を除く)で初回化学療法を受ける日本人患者に対し、カルボプラチンCBDCA)、パクリタキセルPTX)、ベバシズマブを併用し、有効性と安全性を確認するフェーズ2試験で、無増悪生存期間(PFS)と客観的奏効率(ORR)が有意に改善し、安全性も海外の報告と同様であることが分かった。3月18日から19日まで東京都で開催された日本臨床腫瘍学会で、静岡がんセンター呼吸器内科の村上晴泰氏が発表した。

 血管内皮細胞成長因子(VEGF)を標的とするヒト化モノクローナル抗体ベバシズマブをCBDCAとPTX(CP)に併用することで、OSとPFSが改善する結果が海外のフェーズ3試験(E4599)で示された。一方、複数の試験で転帰は民族性で異なることも報告されている。

 そこで村上氏らは、多施設共同の無作為化オープンラベルフェーズ2試験(JO19907)で、日本人の進行・再発NSCLC(扁平上皮癌を除く)患者におけるCPとベバシズマブの併用療法の有効性と安全性を評価した。

 主要評価項目は無増悪生存期間(PFS)、副次的評価項目は全生存期間(OS)、完全奏効(CR)と部分奏効(PR)を合わせた客観的奏効率(ORR)、薬物動態(PK)、安全性とした。この試験はE4599試験の結果と日本人患者のPFSのベネフィットの類似性が確認できるようデザインされ、PFSの予測ハザード比は0.65とされた。

 CPとベバシズマブの併用群では、CBDCAは薬物血中濃度時間曲線下面積(AUC)が「6」、 PTXは200mg/m2、ベバシズマブは15mg/kg で3週ごとに6サイクルまで投与し、その後ベバシズマブ単剤を同量で3週ごとに進行まで投与した。CPのみの群では、3週ごとに6サイクルまでの投与とした。

 2007年4月から2008年3月に180人が登録され、2:1となるよう併用群に121人、CPのみの群に59人を割り付けた。患者背景は両群でほぼ同等だった。年齢中央値は61歳と60歳、男性比は両群で64%、PS 0の割合は51%と49%、非喫煙者の割合は31%と32%、腺癌の割合は92%と93%、ステージIVの割合は69%と71%だった。上皮成長因子受容体(EGFR)の遺伝子変異に関する情報は入手できなかった。

 治療サイクルの中央値は、併用群ではCP 6サイクル、ベバシズマブ8サイクルで、61%の患者がベバシズマブの単剤療法を受けた(中央値6サイクル)。CPのみの群では同値は4.5サイクルだった。

 腫瘍の縮小が評価可能だった170人では、腫瘍が30%以上縮小したのは、併用群71.3%、CPのみの群47.3%だった。腫瘍が50%以上縮小したのは38.3%と16.4%だった。

 有効性の評価が可能だった175人では、ORRは併用群では60.7%で、CPのみの群の31.0%と比べてベバシズマブの併用で有意に改善した(p=0.0013)。進行は併用群では4.3%のみだったが、CPのみの群では24.1%に上った。

 主要評価項目であるPFSは、ベバシズマブの併用で有意に延長した。PFSの中央値は、併用群6.9カ月、CPのみの群5.9カ月で、ハザード比は0.61だった(p=0.009)。

 OSの最終解析では、中央値は併用群22.8カ月、CPのみの群23.4カ月で、ハザード比は0.99となり、有意差は得られなかった(p=0.9526)。この結果について村上氏は、「本試験がOSの評価に十分なパワーを持つようデザインされていなかった」とした。

 プロトコールの治療後、セカンドライン治療に進んだのは併用群82%、CPのみの群86%で、サードライン治療まで進んだのは48%と57%だった。使用された薬剤はドセタキセル、EGFR-チロシンキナーゼ阻害剤(TKI)などが多かったが、EGFR-TKIの効果についての情報は得られていない。

 安全性の評価が可能だった177人では、グレード3以上の有害事象は併用群の92.4%、CPのみの群の86.2%に発現した。多くみられた有害事象として、好中球減少は91.6%と84.5%、好中球減少に伴う発熱は8.4%と6.9%に発現した。併用群のみにおいて、高血圧10.9%、出血1.7%が発現した。多くの有害事象は臨床的に管理可能で、ベバシズマブに関する報告は海外の報告と同様であった。

 またこの試験におけるベバシズマブのPKは、欧米の患者における報告と同等だった。