切除不能胃癌患者に対する胃空腸吻合術は、経口摂取が可能となりQOLの改善に寄与するほか、経口抗癌剤の使用開始につながり、予後の改善に貢献する可能性が示された。松山赤十字病院外科の白石猛氏が、3月18日から19日まで東京で開催された日本臨床腫瘍学会で発表した。

 対象は、2004年1月から2009年9月までに胃空腸吻合術を行った28人(平均年齢73歳)。術後、化学療法施行群(16人)とBSC(Best Supportive Care)群(12人)に分け、両群の予後を調べた。化学療法開始までの術後日数は平均32日で、レジメンは経口5-FU系薬であるテガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤(TS-1)ベースが88%を占めた。

 手術によって経口摂取が可能となったのは25人(化学療法群16人、BSC群9人)だった。術後の生存期間中央値は、化学療法群で400日、BSC群で114日と化学療法群で有意に延長していた(p<0.03)。遠隔転移の有無や腹膜播種の有無により、生存率に明らかな差はみられなかった。

 白石氏は、「経口摂取可能となった患者が多く化学療法群に含まれるなどのバイアスがあるものの、400日という生存期間中央値は、経口抗癌剤による化学療法を行ったことによる予後の延長を示唆するものと考えられる」とし、「遠隔転移や腹膜播種があっても、幽門狭窄により経口摂取が不可能である患者に対しては、積極的に胃空腸吻合術を試みる価値があると考える」と強調した。