ラパチニブとカペシタビンの併用療法は、標準的薬物療法に治療抵抗性となった日本人のHER2陽性転移性乳癌患者において、良好な抗腫瘍効果と高い忍容性があることがフェーズI/II試験の結果から示された。成果は、3月18日から19日まで東京都で開催された日本臨床腫瘍学会で、自治医科大学附属病院の藤井博文氏が発表した。

 ラパチニブは、上皮成長因子受容体(EGFR)のErbB1とErbB2(HER2)の両方を、強力かつ選択的に可逆的に阻害する経口のチロシンキナーゼ阻害剤である。

 ラパチニブとカペシタビンの併用療法は、カペシタビンの単剤療法よりも無増悪生存期間(PFS)を延長し、HER2を過剰発現する転移性乳癌に対して2007年に米食品医薬品局(FDA)に承認されている。日本の試験ではラパチニブ単剤療法の有効性と忍容性については示されたが、当時併用療法の試験は行われなかった。

 藤井氏らは、多施設共同の非盲検非無作為化フェーズ1/2試験(EGF109749試験)において、日本人のHER2陽性転移性乳癌に対するラパチニブ・カペシタビン併用療法の有効性と安全性を検討した。

 試験のフェーズ1の段階では、日本人患者における2サイクルの治療の忍容性と薬物動態(PK)を検討し、問題がなければ次のフェーズ2の段階で、より多くの日本人患者で安全性と有効性を検討することとした。目標患者数はそれぞれ6人と40人とした。

 主要評価項目は、完全奏効(CR)と部分奏効(PR)と6カ月以上の安定状態(SD)からなるクリニカルベネフィット率(CBR)とした。副次的評価項目は、無増悪期間(TTP)、PFS、奏効率とした。

 治療は1サイクルを3週間とし、ラパチニブは1250mgを毎日、カペシタビンは2000mg/m2/日を1日2回に分けて2週間内服投与し、1週間休薬とした。

 この試験の対象はアントラサイクリン系薬剤、タキサン系薬剤およびトラスツズマブによる治療歴を有する患者51人で、今回は2009年12月31日をカットオフとした44人(年齢中央値56歳)の中間解析の結果が報告された。

 その結果、治療期間の平均は27.6週となった。治療中止の状況は、ラパチニブ50%、カペシタビン89%だった。投与量は、カペシタビンを2000mg/m2投与できたのは39%、1500mg/m2は43%だった。一方、ラパチニブは、1250mg投与ができたのは77%だった。ラパチニブが1000mg投与も23%あったが、この減量はカペシタビンの減量に伴うものだった。

 PKについては、海外と日本の検討で差はみられなかった。

 この中間解析では、TTPの中央値は30.3週で、海外の成績とほぼ同等であった。CBRは54.5%、全奏効率は40.9%と良好な結果だった。対象数は違うものの、ラパチニブとカペシタビンの海外の第III相試験の報告ではCBRが29.3%、奏効率は23.7%と報告されている。

 高頻度にみられた有害事象は手足症候群、下痢、発疹、疲労感であったが、多くはグレード1または2で、海外の報告とほぼ同様の結果だった。