嚥下障害のあるIV期食道癌患者に対し、症状の緩和を目的とした化学放射線療法が有用であることが分かった。国立がんセンター東病院消化器内科の池田英司氏が、3月18日から19日まで東京都で開催された日本臨床腫瘍学会で報告した。

 対象は、2004年から2008年に経験した根治不能IV期食道癌患者のうち、嚥下障害による症状緩和目的で化学放射線療法を施行した37人(男性34人、女性3人、平均年齢64歳)。行った化学療法とその対象は、5-FU+シスプラチンが33人、5-FU+ネダプラチンが4人だった。放射線療法は、40Gy/20Frで行った。

 嚥下障害に関しては、嚥下障害があるものの常食の経口摂取が可能な場合を「0」、おかゆの経口摂取が可能な場合を「1」、液体や流動食のみ経口摂取可能な場合を「2」、経口摂取不可能な場合を「3」とし、治療開始時と終了時の変化を調べた。

 化学放射線療法の原発巣への奏効率は89%で、完全奏効は10人だった。観察期間中央値465日で、生存期間中央値は289日、無増悪生存期間中央値は139日だった。嚥下障害が改善した患者は32人(86%)だった。治療開始前に経管栄養が必要だった18人のうち、16人(89%)が経管栄養不要となった。経口摂取が可能になるまでの期間中央値は46日、その後の経口摂取可能な生存期間中央値は109日だった。

 池田氏は、「有害事象については、化学療法のみの患者よりも、血液毒性、非血液毒性ともにやや高い傾向はみられたが、大きな問題となるものはなかった。緩和目的の化学放射線療法によって、死亡の約1カ月前まで経口摂取が可能になるメリットは大きい。身体状態のよい患者には積極的に考慮すべき治療法ではないか」と結んだ。