非切除および術後再発胆道癌に対するゲムシタビンS-1併用療法は、忍容性が高く有効な治療法と考えられる。この結論は、第2相多施設共同試験の最終結果によるもの。3月20、21日に名古屋市で開催された第7回日本臨床腫瘍学会学術集会のプレナリーセッションで、東京大学医学部附属病院消化器内科の佐々木隆氏が報告した。

 進行胆道癌では臨床試験に証明された標準的な治療がまだ確立されていない。近年、ゲムシタビン、S-1について多くの検討が行われており、さらに2006年にゲムシタビン、2007年にS-1が保険適応となったことで両薬剤の併用療法に対する関心が高まっている。

 佐々木氏らは、非切除および術後再発胆道癌に対するゲムシタビン+S-1併用療法の有効性と安全性を検討するため、胆道癌に対し内視鏡やインターベンショナルラジオロジー(IVR)で積極的に治療を行っている専門医からなるJapanese Endoscopists & IVRists group for Biliary Tract Cancer(JEIBIC)を構成し、多施設共同の第2相試験を実施した(自主臨床試験 P2006032、UMIN登録番号 UMIN000000590)。

 試験デザインにはSimonの2段階デザインを採用し、α=0.05、β=0.80、閾値奏効率20%、期待奏効率40%と設定した。本デザインでは第1段階で18人を登録し、5人以上奏効すれば第2段階に進み15人の登録を追加する。全33人に対し、11人以上の奏効を認めた場合に有効と判断する。

 投与スケジュールは、各コースでゲムシタビン1000mg/m2をday1、15に、S-1 80mg/m2をday1〜14に投与する4週間のレジメンとした。2コースごとにCTを撮影し、RECISTを用いて画像評価を行った。主要評価項目は奏効率、副次的評価項目は無増悪期間、全生存期間、有害事象とした。

 試験の経過では、第1段階で6人に奏効を認めたため第2段階の症例の集積を行い、最終的に35人(男22人、女13人、年齢中央値67歳)を登録した。PS 0は46%、1は51%であった。遠隔転移を25人(71%)に認めた。胆道部位では胆嚢癌と肝内胆管癌がそれぞれ14人(40%)を占めた。35人中1人は重症胆管炎を合併し、もう1人は皮疹出現による本人の希望で治療を中止している。

 dose intensityは、ゲムシタビンは92.5%、S-1は86.3%で、投与コースは合計231コース、中央値6コース(1〜23コース)であった。

 抗腫瘍効果は、35人中、完全奏効(CR)2人、部分奏効(PR)10人で、2段階デザインで設定した11人を上回る12人(34.3%)で奏効を得た。病勢コントロール率(DCR)は82.9%。胆道部位別の奏効率(RR)は、胆嚢癌28.6%、肝内胆管癌28.6%となった。

 35人の生存期間(OS)中央値は11.6カ月、無増悪期間(TTP)は5.9カ月。胆道部位別のOSとTTPは、胆嚢癌で9.1カ月と5.7カ月、肝内胆管癌で10.3カ月と6.3カ月であった。

 グレード3以上の有害事象は主に血液毒性であり、いずれも対処可能だった。

 胆道癌化学療法の実施にあたっては、黄疸や胆管炎などの胆道イベントに対する適切な対処が重要である。本試験における発症例ではドレナージなどで十分に対応可能だった。

 本試験の結果から、本併用療法は非切除および術後再発胆道癌に対し、忍容性が高く、高い抗腫瘍効果を持つ治療法と考えられた。佐々木氏は「ゲムシタビンとS-1併用療法は本領域における有望な治療法になり得ると考えられる」と話した。

 JEIBICは、比較検討のためゲムシタビン単独療法とゲムシタビン+S-1併用療法の多施設共同無作為化比較試験を昨年10月より開始している。