胃癌術後補助化学療法としてのS-1単独療法は、減量や投与スケジュールの変更で多くは治療完遂が可能、減量が必要な時期は、多くの場合3カ月以内であり、この期間には特に慎重な対応が必要−−3月20、21日に名古屋市で開催された第7回日本臨床腫瘍学会学術集会の一般口演で、国立がんセンター中央病院消化器内科の吉田裕氏が報告した。

 ステージ2、3の胃癌の術後補助化学療法として、1年間のS-1の内服が標準治療になっている。その有効性を証明したACTS-GCでは、42.4%でS-1の減量が行われていたが、時期や理由についての詳細は明らかにされていなかった。吉田氏らは、胃癌術後補助化学療法としてのS-1内服において、有害事象に関連した減量とスケジュール変更について現状を把握するため、レトロスペクティブな検討を行った。

 対象は、2007年12月までに同院でステージ2、3の胃癌に対し、術後3カ月以内に術後補助化学療法が開始された97人(男性63人、女性34人、年齢中央値59歳)。PS 0と1はそれぞれ60人と37人、ステージ2、3A、3Bはそれぞれ50人、29人、18人。術式は幽門側胃切除54人、胃全摘40人、幽門保存胃切除3人だった。

 S-1初回投与量は120mg/日が最も多く51人、次いで100mg/日が35人、80mg/日が11人で、胃切除から内服開始までの期間の中央値は46日であった。

 S-1の減量は57人(59%)に行われ、途中減量38人、初回減量19人。投与スケジュール変更は39人(40%)に行われ、治療中止は26人(27%)だった。

 主な減量の理由は、治療開始時減量では、術後経口摂取不良6人、白血球減少5人など。途中減量では、消化器毒性として食欲不振18人(47%)、下痢12人(32%)、嘔気・嘔吐5人(13%)など、その他の毒性として、白血球・好中球減少9人(24%)、皮疹6人(16%)などが多かった。

 治療中止までの中央値は121日。中止の理由は有害事象20人、再発2人、その他4人だった。有害事象で多かったのは、消化管毒性では食欲不振6人(30%)、下痢3人(15%)、嘔気・嘔吐3人(15%)など、その他の毒性では倦怠感3人、白血球・好中球減少2人、流涙2人、味覚障害2人などであった。

 グレード3以上の好中球減少は23人(24%)、グレード3の食欲不振は3人(3%)、下痢は2人(2%)に認めた。

 S-1内服開始から、初回の減量が行われた症例の全症例に占める割合は、最終的に59%に達した。治療継続割合をみると、3カ月で85人(88%)、6カ月で80人(82%)、9カ月で72人(74%)、12カ月で71人(73%)であった。

 吉田氏は「減量や投与スケジュールの変更を行うことで、73%の症例が治療を完遂できた。減量を必要とする症例の多くは3カ月以内であり、この期間には2週ごとの診察・検査など、慎重な対応が必要」と話した。