上皮増殖因子受容体EGFRチロシンキナーゼ阻害剤エルロチニブの市販後に行われた特定使用成績調査(全例調査)の中間結果報告(第1報)で、副作用の発現状況は、国内臨床試験の結果と大差ないことが明らかになった。副作用の一つである間質性肺疾患様の有害事象は156人だった。日本医科大学内科学講座呼吸器・感染・腫瘍部門の弦間昭彦氏らが、3月20日から21日に名古屋市で開催された第7回日本臨床腫瘍学会学術集会で発表した。

 エルロチニブ(商品名:タルセバ)は、切除不能な再発・進行性で、化学療法施行後に増悪した非小細胞肺癌を適応に、2007年10月19日に承認され、2007年12月18日に発売が開始された。特定使用成績調査(全例調査)では投与した全患者を対象に、使用実態の把握と副作用発現状況の確認のため、1カ月調査票を回収。観察期間は投与から12カ月とした。

 登録症例は4781人、2008年8月までに1カ月調査票を回収できた3074人を集計対象症例とした。3074人のうち、副作用の発現は2412人(78.46%)で、皮膚障害の頻度が高く、グレード3以上の発疹が4.26%、皮膚乾燥が0.16%で、肝障害が1.30%、下痢が1.20%に見られた。

 エルロチニブの副作用の一つである間質性肺疾患(ILD)については、ILD様事象が156人(5%)に認められた。このうち、回復した患者は22人、軽快が62人だが、死亡は37人だった。国内の第1相、2相試験で、123人中6人(4.9%)にILD様事象が見られ、死亡は3人(2.4%)と報告されている。このため、市販後の副作用の発現状況は国内臨床試験の結果と大きな違いはなかったとした。

 また、ILD様事象の発現に影響を与える因子として、回帰分析の結果、喫煙歴、PSが2から4、肺気腫またはCOPDの合併・既往、肺感染症の合併・既往、肝障害の合併が挙げられた。ILD様事象は危険因子として抽出されなかったが、これは間質性肺疾患を合併・既往した患者へのエルロチニブ投与が控えられていた可能性があるとし、「ILD様事象は注意が必要である」と述べた。

 エルロチニブ適正使用委員会は、これまでに行った123人の評価で、予後が良好と考えられた画像パターンでも死亡例が見られたことから、「ILD様事象の発現が疑われ、CTによる診断を行った後は、X線などによる注意深いフォローを行う」ことを提言している。

 さらに、全例調査の2009年3月4日までの集計によれば、累積使用例数は7268人、ILD様事象症例数は220人、うち死亡が81人で、月ごとの事象症例の発現率は4.1%、死亡は1.1%だった。