5-FUを含む化学療法ではしばしば粘膜障害が問題となる。このうち口内炎は患者のQOLを大きく低下させ、食欲不振を招き得る。なかでも肝癌では、食事量の低下が肝不全を来す可能性があり、有効な対策が求められている。口内炎の発生予防に、亜鉛を含むポラプレジンク(商品名:プロマック)うがい液を用いたところ有効だったことが分かった。3月20、21日に名古屋で開催された第7回日本臨床腫瘍学会学術集会で、金沢大学消化器内科の寺島健志氏が発表した。

 対象は、2007年4月から2008年5月までに5-FU持続肝動注化学療法を行った進行肝細胞癌患者28人(男性24人、女性4人)。対象者をポラプレジンク150mgを溶解したアルギン酸ナトリウムうがい液群(PA群)とアルギン酸ナトリウムうがい液群(A群)に無作為割付し、1日4回、口腔内に含み、浸透させた後で嚥下してもらった。両群の口内炎の発生頻度とその程度を比較検討した。

 その結果、口内炎の発生頻度はA群で83.3%に上ったのに対し、PA群では42.9%にとどまった(p<0.05)。口内炎の程度についても、A群はグレード3の重い口内炎が16.7%、中等度のグレード2が33.3%、軽度のグレード1が33.3%だった。一方、PA群ではグレード2が21.4%、グレード1が21.4%で、グレード3の口内炎はみられなかった。口腔内の痛みについても、A群33.3%、PA群21.4%と少ない傾向があり、グレード3以上の重い食欲不振についてもA群25.0%、PA群7.1%だった。

 食欲不振を口内炎の程度別に調べたところ、口内炎がグレード2〜3の患者では食欲不振が33.3%にみられたのに対し、口内炎がグレード0〜1の患者では食欲不振が5.9%にとどまった(p<0.05)。寺島氏は、「うがい液の使用によって食欲不振をも抑えることができるか、さらに検討を加えたい。また、うがいよりも簡便な内服によって同様の効果が得られるかどうかについても、研究を進める予定」とした。