「がんプロフェッショナル養成プランは、指導者と大学院生の満足度に大きな差があり、改善が望まれる」−−同プランについてのアンケート調査で、こんな事実が明らかになった。3月20、21日に名古屋市で開催された第7回日本臨床腫瘍学会・学術集会の会長シンポジウム「がんのプロフェッショナルをめざして」で、名古屋大学医学部附属病院化学療法部の安藤雄一氏が報告した。

 「がんプロフェッショナル養成プラン(がんプロ)」は、2007年10月より、文部科学省の公募事業として実施されている。癌化学療法や放射線療法を専門とする質の高い専門医やコメディカルの養成を支援するもの。大学院コースの「専門医師養成コース」と「コメディカル養成コース」、ある程度の臨床経験を有する医師とコメディカルを対象とした「インテンシブコース」がある。

 安藤氏らは、これらのコースを実施している72の医学部・医科大学に調査を行った。2008年11月初めに指導者144人、参加者432人にアンケート用紙を送付、同年10月までの評価を求めた。

 回答は47大学(65%)から得られた。指導者は41大学(57%)から64人(44%)、参加者は104人(24%)で、大学名が判明したのは36大学(50%)。そのうち大学院生は69人、インテンシブ参加者は35人だった。

 2008年度の大学院生の受け入れは、化学療法29大学、放射線治療18大学で、その他21大学、8大学はゼロまたは無回答。インテンシブの受け入れは、それぞれ20、7、15、13大学だった。

 本調査の注目すべき点は、「満足度」が指導者と大学院生で異なることだ。

 卒後20年以上が大半(55人、86%)を占める指導者は、がんプロ全体の評価として46人(72%)が「満足」または「やや満足」と回答した。

 一方、参加者側で「満足」または「やや満足」と評価したのは、大学院生の37人(54%)、インテンシブ参加者の28人(80%)で、大学院生の満足度は、指導者やインテンシブ参加者と比較して低い傾向だった。
 
 「満足」「やや満足」と回答した理由について大学院生は、「講義・実習が充実している」「自分の専門以外の癌を経験できた」、インテンシブ参加者は「自分の専門科以外の抗癌剤治療が経験できた」「専門知識を習得できた」などとしている。

 一方、「期待はずれ」「やや期待はずれ」とした理由については、大学院生は「診療に押されて教育の部分が希薄」「労働力として期待されている」、インテンシブ参加者は「インテンシブコースは資格としてメリットが少ない」「費やす時間が多い」などを指摘している。このほか、本調査では、各大学でプランの内容や方法にもかなり違いがあることも明らかになった。

 がんプロに対しては、「苦労して取得するだけの価値ある専門医制度であってほしい」「社会の要請度が高く、学生の関心も高い」といった今後の期待を込めた意見もある一方、「補助金」に対しては「制度が多すぎて魅力ある体制が組めない」「人件費の使途が現実的でない」といった意見も寄せられている。

 今回のアンケート調査の結果を反映した同プランの改善に期待したい。