肺癌または悪性胸膜中皮腫で治療中の味覚障害を認める患者において、亜鉛製剤の有用性が示唆された。この成果は、3月20、21日に名古屋市で開催された第7回日本臨床腫瘍学会学術集会のポスターセッションで、地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪府立呼吸器・アレルギー医療センター看護部の大森由佳里氏が発表した。この発表は、本学会の優秀ポスター5題のうちの1題に選出された。

 本研究の対象は、胸部悪性腫瘍で治療中の患者57人(男39人、女18、年齢中央値65.6歳)。疾患の内訳は肺癌55人、悪性胸膜中皮腫2人。PSは 0〜1が43人、2が14人であった。

 大森氏らは、化学療法中の味覚障害の発生頻度と血清亜鉛濃度の関連性、さらに胸部悪性腫瘍治療中の味覚障害に対するポラプレジンク口腔内崩壊錠75mg(商品名:プロマック錠)の効果をプロスペクティブに検討した。
 
 味覚障害の調査は、問診・アンケート調査・口腔内観察で行い、有害事象共通用語基準(CTCAE)で評価し、グレード1(味覚に変化はあるが食事に影響はしない)以上を味覚障害ありとした。グレード1以上と判断された患者にはポラプレジンク口腔内崩壊錠を1日2回、1カ月間内服とし、グレードが1以上改善するか、味覚障害が消失したものを有効とした。

 血清亜鉛は化学療法施行前と、味覚障害未出現例は3カ月の観察期間終了後に、味覚障害出現例はポラプレジンク内服開始前と1カ月間の内服終了後に測定した。

 味覚障害は13人に認められ、口内炎の1人と合わせて14人がポラプレジンクを内服した。味覚障害の症状としては「苦味」「味の喪失」「塩味」などの順に多く認められた。

 血清亜鉛値と味覚障害の関係については有意な相関はみられず、血清亜鉛値の平均は、登録時62.7μg/dl、味覚障害出現時66.0μg/dL、ポラプレジンク内服後67.0μg/dLで、有意差はなかった。

 味覚障害は、ドセタキセル(DOC、3人)、イリノテカン(CPT-11、3人)、ビノレルビン(VNR、2人)のレジメンの順に多かった。

 味覚障害の改善は、14人中13人でポラプラジンク内服後に認められた。大森氏は「内服により唾液分泌が促進され、粘膜保護および味蕾発達が促進されたためと考えられる。ポラプレジンク内服後の血清亜鉛値の上昇は有意ではなかったものの、本研究により、味覚障害に対する亜鉛製剤の有用性が示唆された」と結論していた。