肺癌化学療法においては、発熱性好中球減少症を来す患者が存在する。現在は施設により異なる治療が行われているが、第4世代セフェム系抗菌薬セフェピム(商品名:マキシピーム)の1日3回点滴投与を試みたところ、安全かつ有用だったと国立病院機構名古屋医療センター呼吸器科の足立崇氏が、3月20日と21日に名古屋市で開催された第7回日本臨床腫瘍学会学術集会で発表した。

 セフェピムは幅広い抗菌力を有する新たなセフェム系抗菌薬の1つで、日本での推奨投与量は1回2gを1日2回だが、欧米では同1日3回となっている。足立氏らは、セフェム系抗菌薬の効果持続時間が短いことから、欧米での使用に準拠する形で投与回数を増やし、安全性と有効性を検証することにした。

 対象は、肺癌に対する化学療法または化学放射線療法を受けている患者で、38℃以上の発熱を来し、好中球数が500個/μL未満または1000個/μL未満で48時間以内に500個/μL未満に減少すると予想された患者54人(男性41人、女性13人、平均年齢71歳)。何らかの抗菌薬や解熱薬を投与されていたり、過敏症等を起こす可能性のある患者は除いた。

 セフェピムは1回1g、補液に加える形で8時間ごとに30分から1時間かけて点滴静注した。72時間後に38℃以下に解熱したかどうかで一次効果判定を行い、有効であれば5日以上の継続投与とした。最終的には、4日以上38℃未満かつ投与終了後7日以上38℃未満を維持できた場合に有効とした。

 一次効果判定では87%が有効、最終的には79.6%が有効と判定された。発熱性好中球減少症を(1)感染症症状があり原因菌が特定できたもの、(2)感染症症状があるが原因菌は特定できないもの、(3)感染症症状を伴わない発熱――に分類してそれぞれの治療効果をみたところ、(1)が66.7%、(2)が66.7%、(3)が83.3%と、原因不明の発熱で最も高い傾向があった。

 有害事象としては肝機能検査値の上昇が13%にみられたが、重篤なものはなかった。発表後の質疑応答で共同演者の愛知県癌センター愛知病院呼吸器内科の斉藤博氏は、「症状の軽い患者では1日2回投与でも十分な可能性があり、投与量や投与回数についてはさらに研究を続けていきたい」と話した。