インターネットを用いた骨髄腫関連疾患の症例登録システム、関西骨髄腫フォーラム(Kansai Myeloma Forum:KMF)が構築され、登録された骨髄腫患者434人のレトロスペクティブな解析から、新規薬剤によってより深い奏効が得られ、それにより生存率(OS)が向上していることが示された。10月11日から13日まで札幌市で開催された第75回日本血液学会学術集会で、KMFの運営委員を務める大阪大学大学院医学系研究科血液・腫瘍内科の柴山浩彦氏が発表した。

 KMFは、関西における多発性骨髄腫の疫学・治療成績に関するデータベースを作り、情報発信や最新情報の共有により、関西のみならず本邦の多発性骨髄腫治療の発展を図ることを目的として設立された。設立から1年が経過し、現在は30施設が参加し、64名の医師が会員となっている。

 KMF会員による症例登録では、患者の名前は不要で、診断名、診断時年齢、性別、転帰、国際病期分類(ISS)、M蛋白、既往歴、合併症、骨病変の治療歴、経過中の重大事象、治療期間、治療法、Best Response、治療中止理由などを入力する。10月13日の時点で、症例登録数は1181例まで増加している。

 KMFの会員となり症例登録を行うメリットには、自施設の多発性骨髄腫患者のデータベースを作成することが可能で、治療成績などがすぐにわかること、自施設の治療成績を他施設と比較できること、目の前の患者の治療を考えるうえでデータベースから類似の患者を検索し、その臨床経過を参考にできること、KMF登録全症例を用いた疫学研究が実施できること――などがある。

 2013年3月までにKMFに登録された923例中、追跡可能な症候性骨髄腫は479例だった。柴山氏らは、治療成績の変遷を検討するため、2006年1月1日以降に治療が開始された434例の予後をレトロスペクティブに解析した。

 434例の年齢中央値は69歳(範囲:32-96)、女性に対する男性の割合は0.96だった。434例中、自家移植非施行例は339例で、新規薬剤使用例は261例、新規薬剤非使用例は78例だった。自家移植施行例は95例で、このうち新規薬剤使用例は83例だった。

 3年と5年のOSのハザード比は、それぞれ0.687(95%信頼区間:0.635-0.742)と0.453(同:0.381-0.538)となり、生存期間中央値は4.44年(同:3.98-5.52)だった。

 OSには性別やM蛋白による有意差はなく、65歳以上の患者、ISS 2および3の患者では不良だった(いずれもp<0.001)。

 治療開始年代でみると、2006-2009年までに治療した患者と比べて、2010年以降に治療を開始した患者のOSは有意に改善した(ハザード比0.592[95%信頼区間:0.380-0.921]、p=0.019)。

 さらに新規薬剤の使用の有無でみると、新規薬剤を使用していない患者(90例)と比べて、使用した患者(344例)のOSは有意に改善した(ハザード比0.598[95%信頼区間:0.417-0.858]、p=0.005)。自家移植非施行例でも、新規薬剤を使用した患者の予後は良好だった(ハザード比0.546[同:0.372-0.801]、p=0.002)。

 新規薬剤のボルテゾミブ、レナリドミドを使用した患者のOSは、使用しなかった患者と比べて有意に改善し、ハザード比はそれぞれ0.639(95%信頼区間:0.457-0.893)、0.568(同:0.391-0.825)だった(いずれもp=0.008)。サリドマイドでは有意差はなかった。

 治療効果(Best response)も、新規薬剤を使用した患者では、厳密完全寛解(sCR)、最良部分奏効(VGPR)が大きく増加し、自家移植非施行で新規薬剤を使用した患者でも同様の傾向がみられた。自家移植施行例ではさらに改善していた。

 治療効果別のOSは、sCR、完全寛解(CR)、VGPRの順に明確に分かれた。ハザード比は、sCRと比べてCRでは2.229(95%信頼区間:0.450-11.050)、VGPRでは3.193(同:0.725-14.060)、部分寛解(PR)では9.535(同:2.335-38.940)、安定状態(SD)では16.836(同:4.050-69.990)、進行(PD)では432.010(同:77.242-2416.200)となった(p<0.001)。同様の結果は自家移植非施行例でも示された。

 柴山氏は「登録症例を解析することにより、実臨床における新規薬剤の有用性が示された」と話した。