HDAC阻害薬ボリノスタットボルテゾミブの併用は、ボルテゾミブ難治性患者を除く日本人再発・難治性多発性骨髄腫(MM)患者において、忍容性があることが、国内多施設共同フェーズ1試験で確認された。10月11日から13日まで札幌市で開催された第75回日本血液学会学術集会で、名古屋第二赤十字病院血液・腫瘍内科の小椋美知則氏らが発表した。

 試験は、3+3デザインで、ボリノスタットとボルテゾミブ併用の用量制限毒性(DLT)に基づき、推奨用量を決定することを主要目的とした。また併せて、薬物動態と有効性も検討された。対象は1-3レジメンの治療歴があるMM患者。なお試験の途中で、ボルテゾミブ難治性の患者2人でDLT(グレード4の血小板減少症)が見られたことから、プロトコールはボルテゾミブ難治性患者を除く患者の登録に変更された。

 投与は1サイクルを21日として、ボルテゾミブ(開始用量1.3mg/m2)を1日目、4日目、8日目、11日目に、ボリノスタット(開始用量400mg/日)を14日間投与した。

 試験には9人(うち男性8人)が登録した。患者の年齢中央値65歳、診断から登録までの期間中央値は5年。前治療の化学療法レジメン数は中央値で1レジメン、自家造血幹細胞移植(ASCT)を1回受けた患者が4人、2回が1人で、放射線療法を受けた患者が1人だった。

 主なグレード3/4の有害事象は、血小板減少症(G3:3人、G4:4人)、好中球減少症(G3:2人、G4:0人)、リンパ球減少症(G3:3人、G4:1人)、貧血(G3:2人、G4:0人)だった。非血液毒性は、いずれもグレード3で、下痢(1人)、食欲低下(1人)、悪心(2人)、倦怠感(1人)、低カリウム血症(1人)、脱水(2人)、肺炎(2人)が見られた。治療関連死はなかった。

 DLTは条件を満たした6人で検討された。1人にDLT(グレード3の腫瘍崩壊症候群、グレード4の血小板減少症)が認められた。この結果から、推奨用量はボリノスタット400mg、ボルテゾミブ1.3mg/m2と決定した。

 薬物動態の検討では、ボリノスタットとボルテゾミブの併用でも、ボリノスタット単剤での結果と同様であった。

 有効性はボルテゾミブ難治性患者を除く7人で評価された。完全奏効が1人、部分奏効が2人で、奏効率は43%となった。増悪までの期間中央値は215日だった。

 以上の結果から、「ボリノスタットとボルテゾミブ併用は、ボルテゾミブ難治性患者を除く、日本人再発・難治性MM患者において、安全で忍容性が認められる」とした。

 海外ではボリノスタットとボルテゾミブ併用療法の臨床試験として、ボルテゾミブ難治性のMM患者を対象としたフェーズ2b試験(VANTAGE095)および再発・難治性MM患者対象のフェーズ3試験(VANTAGE088)が実施されている。