成人の急性リンパ性白血病(ALL)患者に対する同種造血幹細胞移植の前処置として、標準的なシクロホスファミド(CY)と全身放射線照射(TBI)に中等量VP-16(エトポシド)投与を追加した方法は、移植後合併症が発現せず、移植後100日目までの早期死亡もなかったほか、良好な治療成績を示したことが報告された。多施設共同フェーズ2試験の結果によるもので、10月11日から13日まで札幌市で開催された第75回日本血液学会学術集会で、北海道大学血液内科の重松明男氏らが発表した。

 成人ALLは予後不良で、同種移植後の第1完全寛解(CR1)患者の長期生存率は50%程度にとどまるほか、同種移植例では再発による死亡が多い。

 成人ALL患者の同種移植前処置としては、移植5日前、4日前にCY(60mg/kg)を、移植3〜1日前にTBI(2Gy×6)を行うのが一般的だ。

 今回重松氏らは、この標準的な前処置に、移植7日前、6日前の2日間に、中等量VP-16(15mg/kg)投与を追加した際の同種移植の有用性を検討する多施設共同非盲検フェーズ2試験を実施した。

 同院ではこれまでに、この前処置を同種移植前に実施することで良好な治療成績を得られる可能性を報告しており、3年生存(OS)率は89.2%、移植6.5年以降は75%を維持していた。

 今回報告したフェーズ2試験の対象は、PS 0-2、15-49歳、血液学的完全奏効(CR)状態でのALLもしくはABL融合遺伝子陽性白血病患者。幹細胞源は骨髄移植(BM)もしくは末梢血幹細胞移植(PBSC)で、HLA-A、B、DRのドナーとした。

 登録期間は2009年2月〜2011年8月で、解析対象は50例。

 主要評価項目は移植後1年の無再発生存(EFS)で、閾値を55%、期待値を75%に設定した。副次評価項目は、好中球/血小板生着割合、day28までの移植関連毒性(RRT)、急性/慢性移植片対宿主病(GVHD)の発症頻度/重症度、感染症の発症頻度など。

 患者背景は、年齢中央値は33.5歳(範囲:17-49歳)、男性が54%、ALL患者は96%(48例)、ALL疾患ハイリスク患者が84%(42例)、CR1が94%、CR2-が6%、PS 0が84%を占めた。幹細胞源は、非血縁者間骨髄移植が48%、血縁者間骨髄移植が32%、血縁者間末梢血幹細胞移植が20%。

 生存例の追跡期間中央値は719日(範囲:379〜1218日)だった。

 主要評価項目の1年EFS率は76%、2年EFS率は65%、3年EFS率は65%だった。また1年OS率は83%、2年OS率は70%、3年OS率は70%で、移植100日後時点で全例が生存していた。

 再発は7例で見られ、1年再発率は10.0%、2年再発率は14.7%。1年非再発死亡(NRM)率は14.0%、2年NRM率は20.4%だった。

 好中球生着率は全例で見られ、血小板生着率(5×104/μL以上)は88%。

 急性GVHDは66%(33例)で見られたが、グレード3以上の患者は8%(4人)だった。標的臓器の多くは皮膚(32例)で、消化管6例、肝臓1例。慢性GVHDは56%(27例)で見られ、その3分2は全身型だった。その他の合併症としては、出血性膀胱炎が10%、 血栓性微小血管症が6%、移植後リンパ増殖性疾患が4%だった。

 死因は、原病死が6例、非再発生存例が10例でうち7例が感染症による死亡だった。

 EFSの有意な予測因子(年齢、血縁者間と非血縁者間、骨髄移植と末梢血幹細胞移植、疾患リスクなど)を検討したが、いずれも有意な因子は検出されなかった。

 これらの結果から重松氏は、「成人ALLに対する本前処置により、RRT、GVHDなどの移植後合併症は認められなかったほか、移植後100日目までの早期死亡は認められず、安全に施行可能と考えられた。1年EFS率が76%、1年OS率は83%で、多施設共同の前向き試験においても有用な治療法であると考えられた」と語った。

 今後は、フェーズ3試験もしくは前向きのコホート研究を検討したいとしている。