末梢性T細胞リンパ腫(PTCL)患者に対する初回治療として、ドキソルビシンのアナログであるピラルビシン(THP-ADR)を用いて隔週で行うTHP-COP-14療法(THP-ADR、シクロホスファミド、ビンクリスチン、プレドニゾロン)は、安全で有効と考えられることが、フェーズ2試験から示された。10月11日から13日まで札幌市で開催された第75回日本血液学会学術集会で、横浜市立大学大学院医学研究科病態免疫制御内科学の富田直人氏が発表した。

 ドキソルビシンと比較して、THP-ADRは細胞内への移行が速く、in vitroではT細胞リンパ腫細胞株でより効果的に細胞内へ取り込まれ、殺細胞効果が高いことが報告されている。臨床的には、T細胞リンパ腫に対し、3週毎のTHP-COP療法は3週毎のCHOP療法(シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、プレドニゾロン)よりも完全寛解(CR)率は優れていたが、生存に関しては両レジメンで差がなかったことが報告されている。

 これらの背景から、富田氏らは、THP-COP療法の治療強度を高めてはどうかと考えた。予後不良とされるPTCLs(末梢性T細胞リンパ腫非特定型[PTCL-NOS]、血管免疫芽球型T細胞リンパ腫[AITL])に対してTHP-COP-14療法を行い、その安全性と治療効果を検討するフェーズ2試験を実施した。

 対象は、組織学的に確定したPTCL-NOSまたはAITLで未治療の患者で、PS 0-3、15-69歳、臨床病期I-IV期、駆出率50%以上などの条件を満たすこととした。主要評価項目は奏効率と安全性、副次的評価項目は無増悪生存率(PFS)と全生存率(OS)だった。目標症例数は20人とし、2004年に登録を開始、2011年8月で登録を終了した。

 THP-COP-14療法では、THP-ADR 50mg/m2、シクロホスファミド750mg/m2、ビンクリスチン1.4mg/m2(最大2.0mgまで)を1日目に投与し、プレドニゾロン100mg/bodyを1-5日目まで投与した。この併用療法を14日間に1回施行し、計6サイクル行うこととした。

 20人が登録されたが、このうち1人は登録・治療開始後にNK/T細胞リンパ腫であることが判明し、2人は治療終了後の病理学的レビューの段階で診断が変更となったため、残る17人について臨床データの解析を行った。

 17人中、男性は13人、年齢中央値は62歳だった。PTCL-NOSは5人、AITLは12人で、国際予後因子(IPI)で低リスク、低中リスク、高中リスク、高リスクの患者はそれぞれ3人、7人、5人、2人だった。

 17人全員が6サイクルのTHP-COP-14療法を受けた。生存中の患者の追跡期間中央値は30カ月だった。奏効率は94%となり、CRは15人で得られ、CR率は88%だった。

 3年のPFSは57%、OSは75%だった。PFSとOSは、IPIで低/低中リスクと高中/高リスクの患者で有意差はなかった。

 安全性を解析した16人中、THP-COP-14療法に関連して多く観察された有害事象は血液毒性が多く、白血球減少は16人(100%)、好中球減少は16人(100%)、リンパ球減少は16人(100%)、貧血は15人(88%)に発現した。グレード3/4の事象が発現したのは、それぞれ14人、14人、12人、12人だった。脱毛は12人(92%)、悪心/嘔吐は11人(69%)で観察された。心事象が2人(15%)に発現したが、いずれもグレード1だった。AST/ALT上昇は9人(56%)に発現したが、問題なく回復した。

 富田氏は「THP-COP-14療法は17人の適格症例に対し、安全に施行可能であり、PTCLsの初回治療として有効と考えられた」と結んだ。

[訂正]10/18に以下の訂正をしました。
・THP-COP-14療法におけるプレドニゾロンの投与量を1100mg/bodyとしていましたが、正しくは100mg/bodyでした。本文は修正済みです。