イマチニブ抵抗性/不耐容の慢性期または移行期の慢性骨髄性白血病(CML)患者に対するニロチニブ(商品名「タシグナ」)投与において、治療継続率は55.3%で、およそ4割の患者が1年以上服薬していた。また、新たな副作用は発現せず、良好な忍容性を示したことが報告された。ニロチニブの特定使用成績調査(全例調査)の中間報告によるもので、10月13日まで札幌市で開催された第75回日本血液学会学術集会で、熊本大学医学部附属病院感染免疫診療部の川口辰哉氏らが発表した。

 調査は、ニロチニブが発売された2009年2月から開始された。今回は2013年1月31日までの調査結果が報告された。

 対象は、イマチニブ抵抗性/不耐容の慢性期または移行期のCML患者で、386施設864例が登録。安全性に関する解析対象は801例(初発10例を含む)、有効性に関する解析対象は724例で、その内訳は慢性期CML患者が671例(初発9例を含む)、移行期CML患者が53例だった。

 患者の年齢中央値は66歳(範囲:7-91歳)、男性割合は56.8%、慢性期患者が86.9%、イマチニブによる前治療歴を持つ患者は98.6%、イマチニブ抵抗性が45.8%(387例)、イマチニブ不耐容が45.7%(366例)を占めた。ニロチニブの1日平均投与量は400mg未満が18.1%、400mg以上800mg未満が49.2%、800mg以上が32.7%。ニロチニブの総投与期間中央値は230日、総観察期間中央値は246日だった。

 40.8%の患者が、ニロチニブを1年以上服薬していた。総投与期間が1年未満は59.2%、1〜2年が21.1%、2〜3年が13.7%、3年以上が6.0%だった。

 イマチニブ治療継続率は55.3%(443例)で、治療中止理由は有害事象(182例)が最も多く、次いで効果不十分(103例)だった。

 細胞遺伝学的完全寛解率(CCyR)は慢性期CML患者で71.0%、移行期CML患者で46.3%だった。また、全患者におけるMMR累積達成率は63.2%で、イマチニブ不耐容例では75.3%、イマチニブ抵抗性例では52.7%だった。

 病期が進行した慢性期CML患者は2.1%(14例)。

 重点調査項目として設定された副作用8項目を見ると、最も発現率が高かったのは発疹で23.1%(うち重篤例が2.0%)、次に心疾患が12.6%(同4.7%)、体液貯留が8.7%(同2.7%)、肝機能障害悪化が3.4%(同0.4%)、感染症が3.4%(同2.0%)、腎機能障害悪化が3.4%(同1.0%)、出血が2.0%(同1.1%)、間質性肺炎が1.6%(同1.6%)と続いた。

 また、これらの初回副作用は投与4週間以内に発現するケースが多く、発疹が発現した患者の73.0%、心疾患の55.4%、体液貯留の65.7%を占めた。

 そのほか、重点調査項目以外の副作用発現率は76.0%だった。主な副作用は、血小板減少が15.0%(うち重篤例は7.0%)、血中ビリルビン増加が10.7%(同0.6%)、貧血が9.0%(同3.3%)、リパーゼ増加が8.9%(同3.3%)など。

 年齢別に副作用発現率を比較したところ有意差はなく、65歳未満が76.6%、65歳以上75歳未満が79.7%、75歳以上が70.8%だった(p=0.2637)。重篤な副作用発現率についてもはそれぞれ28.9%、35.9%、35.2%で、有意差はなかった(p=0.0715)。

 心血管有害事象の発現率は、虚血性脳血管障害が1.0%(8例)、脳梗塞が1.0%(8例)、虚血性心疾患が0.8%(6例)で、末梢動脈閉塞性疾患(PAOD)は報告されなかった。

 これらの結果から川口氏は、「日常診療においてニロチニブの良好な忍容性が確認された。末梢動脈閉塞性疾患(PAOD)を含む心血管有害事象の発現は低頻度だったが、比較的高齢者が多いこと、5.9%で血中ブドウ糖上昇が認められたこと、ニロチニブの長期投与が必要なことを考慮すると、糖尿病や脂質異常など合併するリスク因子のマネジメントが重要」と語った。