予後不良であるAggressive成人T細胞白血病(ATL)患者に対する同種造血幹細胞移植において、移植適応患者の6割に実際に移植が実施されたほか、移植患者については長期生存が期待できることが報告された。10月13日まで札幌市で開催された第75回日本血液学会学術集会で、東京大学医科学研究所附属病院血液腫瘍内科の大野伸広氏らが発表した。

 急性型およびリンパ腫型成人T細胞白血病(ATL)はAggressive ATLとも呼ばれ、化学療法のみでの長期無病生存率が低く、予後不良の造血器悪性腫瘍であることが知られる。近年では、Aggressive ATLの治療法として同種造血幹細胞移植の有効性が報告されている。だが、移植適応や移植を含めた包括的な治療戦略は確立されていないのが現状だ。

 大野氏の所属する東京大学医科学研究所血液腫瘍内科は、2005年から国立がん研究センター中央病院とAggressive ATL治療について連携を開始。初回化学療法後、できるかぎり早期に同種造血幹細胞移植を実施する方針で治療している。

 今回大野氏らは、Aggressive ATLに対する同種造血幹細胞移植の適応や至適タイミングについて検討した。

 対象は、2005年11月〜2013年3月に同院に治療目的で入院した70歳未満のAggressive ATL患者33例(急性型30例、リンパ腫型3例)。移植後患者や他の造血器腫瘍合併例は除外した。

 同院入院後、早期にドナー検索をし、血縁ドナーが不在の場合は骨髄バンクに登録した。初回化学療法はmLSG15(VCAP、AMP、VECP)レジメンで実施し、病勢進行(PD)となった場合はレジメンを変更した。原則として、移植条件を満たす患者については国立がん研究センター中央病院で同種造血幹細胞移植を実施した。移植条件は、(1)HLA一致(C、DR抗原不一致は可)の適切なドナーがいること、(2)重度の臓器障害がないこと、(3)ATLの病勢が直前の化学療法で病勢安定(SD)以内(治療継続は可)、(4)活動性感染症がないこと、(5)中枢神経浸潤がないこと、(6)PS 0または1、(7)文書による同意が得られること――とした。

 患者背景は、男性16例女性17例、年齢中央値は55.7歳(範囲:28-69歳)、ECOG PS 0-1が28例、初回化学療法としてmLSG15レジメンを実施した患者は26例だった。全患者の観察期間中央値は420日、移植群は847.5日、非移植群は281日だった。

 全患者のうち、同種移植を実施した患者は60.6%(20例)だった。移植までの日数中央値は166日(範囲:62-222日)で、移植時の病勢は完全奏効(CR)が2例、部分奏効(PR)が10例、SDが6例、PDが2例。移植幹細胞源は、非血縁者間骨髄移植が16例、血縁者間末梢血幹細胞移植が3例、血縁者間骨髄移植が1例だった。

 全患者の3年生存(OS)率は36.6%で、生存期間中央値は1.36年だった。

 移植群の3年生存率は57.6%で、非移植群の0%と比べて有意に高かった(p=0.002)。

 移植後に死亡した患者の死因は、移植関連死が2例、再発が5例感染症が1例だった。

 一方、移植不適格例は13例で、その理由はATL再燃が6例、初回治療抵抗性が2例、感染症・臓器障害がが2例、ドナー不在が2例、同意なし1例。初回治療からATL再燃までの日数中央値は110日間だった。

 大野氏は、「今回はデータを提示していないが、CRやPRなど患者状態が良好な時期に移植した患者については、12例中10例が生存していることから、患者状態が良好な時期に移植すれば、非血縁者間であっても、Aggressive ATLへの同種造血幹細胞移植は有用な治療法であると考えられた。モガムリズマブなどの新規薬剤の登場や、移植ソースの工夫・改善が行われており、今後、さらにレジメンを改善し移植までの時間を短縮することで長期生存率の向上につながる可能性がある」と語った。