治療歴のある慢性骨髄性白血病(CML)あるいはフィラデルフィア染色体(Ph)陽性の急性リンパ芽球性白血病(Ph+ ALL)の日本人患者に対し、経口BCR-ABL阻害薬ponatinibの推奨用量は海外と同じ45mgで、有効性も期待できることが、国内の多施設共同フェーズ1/2試験のpreliminaryな解析で明らかになった。第75回日本血液学会学術集会で、東京医科大学病院血液内科の田内哲三氏らが発表した。

 対象は、ダサチニブまたはニロチニブに抵抗性または不耐容のCML患者、あるいは1レジメン以上のチロシンキナーゼ阻害剤(TKI)に抵抗性または不耐容のPh+ ALL患者。
 
 フェーズ1試験の部分は3+3デザインの用量漸増試験として行われ、ponatinibは30mgまたは45mgを1日1回経口投与した。30mgコホートには慢性期(CP期)CML患者1人、移行期(AP期)CML患者1人、Ph+ ALL患者4人が、45mgコホートにはCP期CML患者3人、AP期CML患者1人、急性期(BP期)CML患者1人、Ph+ ALL患者1人が登録した。
 
 30mgコホートでは、Ph+ ALL患者1人にDLT(グレード5の肝不全)が認められたのみであった。45mgコホートでもCP期CML患者1人にDLT(グレード4のリパーゼ上昇、グレード3のアミラーゼ増加)が認められたのみだった。このためフェーズ2試験への推奨用量は45mgと決定した。
 
 フェーズ2試験の部分にはCP期CML患者12人、AP期CML患者2人、BP期CML患者3人、Ph+ ALL患者11人が登録した。計28人のうちTKI治療歴が1レジメンの患者が21%、2レジメン以上が79%、3レジメン以上が32%を占めた。BCR-ABL 遺伝子変異がCP期CML患者では3人、Ph+ ALL患者では6人に見られた。
 
 フォローアップ期間中央値2カ月において、投与継続率がCP期CMLとAP期CML患者では100%だが、BP期CML患者67%、Ph+ ALL患者55%だった。
 
 特徴的な有害事象として、一過性の発熱(13人)、落屑(6人)が見られ、そのほか発疹(8人)、リパーゼ上昇(7人)、便秘(6人)が見られた。グレード3/4の血液毒性は、血小板減少症(9人)、白血球数減少(5人)が認められた。

 海外の臨床試験で見られた膵炎は日本人患者では見られなかった。2人に動脈血栓症(グレード3の心筋梗塞、グレード2の脳幹梗塞)が見られたが、治療には関係しないと考えられた。いずれも休薬後、ponatinibが再投与された。
 
 効果は、血液学的完全奏効(CHR)がCP期CML患者で90%、血液学的大奏効(MaHR)がAP期CML患者100%、BP期CML患者100%、Ph+ ALL患者38%だった。細胞遺伝学的大奏効(MCyR)はCP期CML患者75%、AP期CML患者50%、BP期CML患者67%、Ph+ ALL患者43%で、細胞遺伝学的完全奏効(CCyR)がそれぞれ50%、0%、33%、43%となった。さらに分子遺伝学的大奏効(MMR)がCP期CML患者で50%だった。

 定常時の血中濃度は、海外データに比べて、若干日本人で高い傾向があったが、個人差が非常に大きかったとした。