ベンダムスチンの特定使用成績調査(全例調査)から、再発・難治性の低悪性度B細胞性非ホジキンリンパ腫(i-NHL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)の患者に対し、安全性および有効性のプロファイルが確認され、既存の適応症に対し有用な治療薬であることが確認された。ただし、骨髄抑制、重症の免疫不全の増悪または発現、B型肝炎ウイルスの再活性化による肝炎の発現などに注意が必要である。10月11日から13日まで札幌市で開催されている第75回日本血液学会学術集会で、シンバイオ製薬株式会社の太田雅貴氏が発表した。

 特定使用成績調査は、ベンダムスチンの販売開始後の使用実態下における安全性と有効性に関する情報を収集するため、全例を対象として実施された。

 対象は再発・難治性のi-NHLまたはMCLで、事前症例登録による全例調査方式により、250例を目標に、患者背景、投与状況、有害事象、有効性などを調査した。観察期間は、投与開始から6サイクル投与終了19日後(18週)までとし、5サイクルまでに投与を終了した場合は最終投与サイクルの投与終了19日後までとした。

 2010年12月10日から2011年2月21日までに、272施設から583例が登録され、全例を安全性解析対象とした。年齢中央値は67歳(範囲:24-90)、男性の割合は58.1%、前治療のレジメン数中央値は2で、レジメン数が4以上の患者も27.2%含まれた。直近治療終了からベンダムスチンの投与開始までの期間の中央値は2.2カ月だった。病型では、i-NHLが71.4%、MCLが28.0%だった。

 初回投与量は、120mg/m2が43.9%、90mg/m2が43.2%、60mg/m2が7.5%だった。総投与サイクル数の中央値は4(範囲:1-6)だった。他の抗悪性腫瘍剤との併用「あり」は49.1%、「なし」は50.9%で、リツキシマブは42.0%で併用していた。

 583例中、副作用は564例、2890件認められ、副作用発現症例率は96.74%だった。このうち重篤な副作用は224例(38.42%)に認められた。主な副作用は骨髄抑制、消化器症状、感染症、血管障害などだった。5%以上に発現した主な副作用は、リンパ球数減少71.87%、白血球数減少57.46%、好中球数減少55.57%、血小板数減少40.14%などの骨髄抑制が多かった。その他に、悪心19.21%、発熱性好中球減少症8.23%、血管障害6.86%、発疹6.86%なども観察された。グレード3以上の副作用でも同様の傾向がみられ、リンパ球数減少は70.67%、好中球数減少は51.63%、発熱性好中球減少症は8.23%に認められた。

 ベンダムスチンとの因果関係が否定できない「死亡」と報告されたのは13例だった。内訳は、ニューモシスティスジロウ゛ェシ肺炎、肺炎が各2件、その他は胃腸出血、疾患進行、サイトメガロウイルス性肺炎、真菌感染、敗血症などだった。

 重点調査事項として検討された、日和見感染を含む重症感染症は62例74件(10.63%)報告され、主な副作用は発熱性好中球減少症、肺炎、帯状疱疹、サイトメガロウイルス感染、敗血症などだった。腫瘍崩壊症候群は8例8件(1.37%)、重篤な皮膚障害は1例1件(0.17%)報告された。アナフィラキシー様症状は3例5件(0.51%)報告された。B型肝炎も1例1件(0.17%)報告され、B型肝炎ウイルスの再活性化によるものだった。

 有効性は497例で評価され、全病型の奏効率は69.4%、完全寛解(CR)率は40.8%だった。病型別の奏効率は、i-NHLで70.2%、MCLで67.6%となった。

 安全性について、現時点で対策を要する新たな知見は認められなかった。有効性は臨床試験と比べて低い結果となったが、患者背景の違いが影響したと考えられた。

 太田氏は適正使用を呼びかけ、「リンパ球数減少などはベンダムスチンに特徴的なパターンであり、骨髄抑制を十分に観察し、異常を認めた場合は減量・休薬などの適切な処置を行ってほしい。重症の免疫不全の増悪・発現、B型肝炎ウイルスの再活性化による肝炎の発現にも注意が必要」と話した。