悪性リンパ腫の化学療法による好中球減少症に対し、PEG化顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)製剤であるKRN125(pegfilgrastim)は、従来のG-CSF製剤フィルグラスチムと同等の有効性を示し、安全に投与できることが、多施設共同二重盲検無作為化フェーズ3試験で明らかになった。第75回日本血液学会学術集会で、大分県立病院血液内科の宮崎泰彦氏らが発表した。

 pegfilgrastimはフィルグラスチムにポリエチレングリコール(PEG)を結合させた製剤で、pegfilgrastimの半減期はフィルグラスチムの10-20倍といわれる。投与方法は、フィルグラスチムは1日1回皮下投与だが、pegfilgrastimは化学療法1サイクルあたり1回の投与となっている。

 同試験では、CHASE(R)療法(シクロホスファミド、エトポシド、高用量シタラビン、デキサメタゾン、およびリツキシマブ)を受けた悪性リンパ腫患者を対象に、pegfilgrastimを投与する群とフィルグラスチムを投与する群に分け、pegfilgrastimのフィルグラスチムに対する非劣性を検証した。

 CHASE(R)療法を1-3日目に行い、4日目からpegfilgrastim(3.6mg/body)またはフィルグラスチム(50μg/m2/day)を投与した。フィルグラスチム群では絶対好中球数(ANC)5000/μL以上が確認されるまで、または20日目までフィルグラスチムを投与した。主要評価項目は、化学療法1サイクル目において、重篤な好中球減少症(ANC 500/μL未満)が発生した日数とした。

 試験は47施設で実施された。解析対象はフィルグラスチム群55人、pegfilgrastim群54人で、うち非ホジキンリンパ腫が各51人であった。安全性は計109人で解析された。有効性は好中球減少症が発生しなかった2人を除く、107人(フィルグラスチム群54人、pegfilgrastim群53人)で解析された。

 この結果、重篤な好中球減少症の発生日数の平均値はフィルグラスチム群4.7日、pegfilgrastim群4.5日、中央値はそれぞれ5.0日、4.0日だった。これにより「pegfilgrastimのフィルグラスチムに対する非劣性が認められた」とした。またANC 1000/μL未満の日数は、平均値がそれぞれ5.1日、5.2日、中央値は両群とも5.0日であった。

 安全性は両群で大きな違いはなかった。有害事象の発現頻度は両群とも100%だが、化学療法や原疾患に伴うものが多かった。重篤な有害事象はフィルグラスチム群3.6%(2人:消化管出血、敗血症性ショックによる死亡)、pegfilgrastim群5.5%(3人:悪性リンパ腫の増悪、胃蜂窩織炎、肺炎)に認められた。またG-CSF製剤で見られる筋骨格系および結合組織障害(背部痛、関節痛など)はフィルグラスチム群41.8%(23人)、pegfilgrastim群31.5%(17人)で、両群ともグレード2以下であった。

 この結果から宮崎氏は、「pegfilgrastimによって皮下注射の回数が減るため、患者の負担が大きく軽減される」と話した。pegfilgrastim は、癌化学療法による発熱性好中球減少症を適応として、2013年6月27日に承認申請されている。