多発性骨髄腫の初回治療として、プロテアソーム阻害剤ボルテゾミブ1.3mg/m2とメルファラン、プレドニゾロンの併用療法(VMP療法)は日本人患者でも忍容性があり、有効な治療であることが、国内フェーズ1/2試験で示された。ただし海外試験に比べ投与継続性が低いことから、投与スケジュールを検討する必要性も示唆された。10月19日から京都市で開催された第74回日本血液学会学術集会で、名古屋市立大学腫瘍・免疫内科学の飯田真介氏らが発表した。

 フェーズ3のVISTA試験では、未治療の多発性骨髄腫に対し、VMP療法はMP療法に比べ全生存期間を延長させることが報告されている。そこで日本人患者を対象にVMP療法の有効性と安全性をみるフェーズ1/2試験(JPN-102試験)が実施された。

 対象は、造血幹細胞移植の適応でない未治療多発性骨髄腫患者。フェーズ1部分では、MP療法と併用するボルテゾミブの推奨用量を決定することを目的に、ボルテゾミブは0.7mg/m2、1.0mg/m2、1.3mg/m2が投与された。なおVISTA試験ではボルテゾミブ1.3mg/m2が投与されている。

 フェーズ2部分では、フェーズ1の推奨用量でのVMP療法の有効性と安全性を評価し、VISTA試験の結果と比較、さらに間質性肺疾患(ILD)の発生率が評価された。主要評価項目は奏効率、副次評価項目は奏効までの期間、奏効期間と設定された。

 治療は、1サイクルを6週間として計9サイクル行った。1-4サイクルでは、ボルテゾミブを1、4、8、11、22、25、29、32日目に計8回投与した。5-9サイクルでは、1、8、22、29日目に計4回投与した。MP療法は全サイクルで、1-4日目に計4回投与した。MP療法として、メルファラン9mg/m2/日とプレドニゾロン60mg/m2/日を投与した。

 フェーズ1部分では各コホート6人ずつが登録された。この結果、フェーズ1部分で、用量制限毒性は1サイクル目に1人(グレード3の感染性腸炎、グレード3のイレウス)のみであったことから、推奨用量は1.3mg/m2と決定した。

 ボルテゾミブ1.3mg/m2が投与された患者は計87人であった。有効性は評価できた86人において、完全奏効(CR)が19.8%、部分奏効(PR)が50%で、奏効率は69.8%であった。VISTA試験ではそれぞれ30%、40%だったことから、奏効率は同等だがCR率が低かった。この理由について飯田氏は、「治療中止基準などが異なり、今回の試験ではボルテゾミブの総投与量がVISTA試験に比べて低いためだろう」と述べた。

 治療サイクル数は中央値が今回の試験では4.5サイクルだが、VISTA試験では9サイクル、ボルテゾミブの総投与量はそれぞれ28mg/m2、38.5mg/m2であった。またボルテゾミブの総投与量は、CR患者では中央値で40.1mg/m2、PR患者では30.7mg/m2だが、VISTA試験のCR患者では44.6mg/m2、PR患者では41.7mg/m2であった。

 奏効までの期間中央値は、今回の試験では51日、VISTA試験では43日だった。

 ボルテゾミブ1.3mg/m2投与において、非血液毒性は、グレード3の白血球減少が74.7%、リンパ球減少が94.3%、血小板減少が56.3%、好中球減少は77%、貧血は40.2%に認められた。87人中17人(19.5%)は血小板輸血を要した。

 非血液毒性では、末梢神経障害、下痢、便秘、嘔吐、発熱、皮疹、肝機能障害、低ナトリウム血症、低カリウム血症が認められた。毒性による治療中止は34人(39.1%)に見られ、末梢神経障害が半数を占めた。末梢神経障害が現れるまでの期間中央値は43日(4-155日)だった。

 第三者評価委員会で評価された肺毒性は、ILDが7人(グレード1が6人、グレード2が1人)、低酸素血症が6人(うちグレード3は3人)だった。このため「薬剤性肺障害には充分な注意が必要である」とした。