ニロチニブで治療した日本人の初発慢性期の慢性骨髄性白血病(CML)において、投与開始36カ月時点においても、イマチニブ群と比べ、優れた分子遺伝学的効果を維持していることが報告された。また、ニロチニブの血中濃度と、投与量や体重との間に明らかな相関関係はなかったが、血中濃度の上昇に伴って肝機能に関連する有害事象が増加する傾向が確認された。自治医科大学付属さいたま医療センターの神田善伸氏が、10月21日まで京都市で開催された第74回日本血液学会学術集会で発表した。

 今回のサブ解析は、初発慢性期CML患者に対するニロチニブとイマチニブの有効性を評価した国際共同のフェーズ3試験「ENESTnd」に登録された日本人患者79人のデータをもとに解析したもの。同試験では、ニロチニブ300mg1日2回投与(以下、ニロチニブ300mgBID群、日本人は30人)、ニロチニブ400mg1日2回投与(以下、ニロチニブ400mgBID群、24人)、イマチニブ400mg1日1回投与(以下、イマチニブ群、25人)に無作為に割り付けており、10年間追跡する試験デザインになっている。このうち、測定予定日から3日間以内に薬剤中止や用量変更のなかったニロチニブ群の患者41人を対象に、探索的に血中濃度を測定した。投与1、8、82、168、252、336日目において、投与前にトラフ値(投与直前に測定された最低血中濃度)、投与後3±1時間に血中濃度ピーク値を測定した。追跡期間中央値は38カ月。

 治療継続率は、ニロチニブ300mgBID群が86.2%、ニロチニブ400mgBID群が77.3%、イマチニブ群が79.2%だった。

 36カ月時点の分子遺伝学的寛解(MMR)率は、イマチニブ群が52.0%だったのに対し、ニロチニブ300mgBID群が86.7%、ニロチニブ400mgBID群が75.0%で、12カ月時点で確認された分子遺伝学的効果が36カ月時点でも維持されていることが分かった。

 投与8〜336日後のトラフ値(幾何平均値)は、ニロチニブ300mgBID群が1128.4−1556.5ng/mL、ニロチニブ400mgBID群が1216.1-1716.4ng/mLを推移しており、両群に大きな差は見られなかった。グローバルデータと同様の傾向だった。

 体重の増加とともに、血中濃度が低くなることが想定されたため、投与開始12カ月時点のトラフ値と体重との関係を調べたが、明らかな相関関係は示されなかった。ニロチニブ300mgBID群では相関係数が0.0760、ニロチニブ400mgBID群では0.5061だった。

 また、投与12カ月時点での体重と維持投与量についても、明らかな相関関係が確認されなかった。神田氏は、「体重が少ない人ほど血中濃度が高くなり、有害事象がより多く発現して、維持投与量が減少するかと想像したが、明らかな相関関係はみられなかった」とした。

 さらに、トラフ値を低値群(835ng/mL未満)、中間群(835-1858ng/mL)、高値群(1858ng/mL)に分けて、有害事象との関係を調べたところ、血液毒性においては3群間に有意差は見られなかった。一方、総ビリルビン値、ALT値、AST値、リパーゼについては、トラフ値の上昇に伴い、有害事象発現率が上昇する傾向が確認された。

 投与12カ月時点のトラフ値とMMR率との関係を見ると、低値群で71.4%、中間群が50.0%、高値群が37.5%だった。神田氏はこの結果について、「トラフ値が高いほどMMR率が高いと推測されたが、逆の結果となった。症例数が少ないので結論は出せない」とした。

 神田氏は、「薬剤投与量とトラフ値、体重との間に明らかな相関関係は見られなかったほか、MMRについてもトラフ値との間に相関関係は確認されなかった。36カ月の追跡結果から、これまでの報告と同じく、2つの薬剤は安全に投与可能であることが示された」と語った。