若年成人期の急性リンパ性白血病(ALL)患者に対しても、小児ALL患者用の治療プロトコール「JACLS ALL-02 HR」が有用である可能性が示された。高い完全寛解(CR)率が得られたほか、5年全生存(OS)率、5年無病生存(DFS)率が約7割だった。臨床フェーズ2試験「JALSG ALL202-U」の最終解析結果について、山口大学医学部附属病院第3内科の湯尻俊昭氏が、10月21日まで京都市で開催された第74回日本血液学会学術集会で発表した。

 一般に、小児ALLの長期生存率は8-9割であるのに対し、若年成人期ALLでは3-5割にとどまっているのが現状だ。海外の報告では、小児ALLの治療プロトコールが、成人ALLのものと比べ、治療効果が高いとする報告がある。
 
 そこで湯尻氏らは、16〜24歳の若年成人期のフィラデルフィア染色体陰性ALL患者139人(男性56%、年齢中央値19歳)を対象に、ハイリスク小児ALL患者の治療プロトコール「JACLS ALL-02 HR」の有効性と安全性を検討した。主要評価項目は、無病生存(DFS)、副次評価項目は有害事象と完全寛解(CR)率。

 今回使用したプロトコール「JACLS ALL-02 HR」は、ハイリスクの小児ALL患者の治療プロトコールで、従来の成人ALL治療プロトコールと比べ、寛解導入療法・地固め療法・維持療法の各期間中に投与するL-アスパラギナーゼやメトトレキサートの累積投与量が高用量であるほか、維持療法期間中にも髄注(IT)を実施するのが特徴だ。
 
 治療の結果、5年OS率は73%、5年DFS率は68%だった。寛解導入療法でCRに至った患者は124人、地固め療法では6人で、CR率は94%だった。寛解導入療法中に4人が死亡した。
 
 治療を完遂できた患者は全体の5割弱で、およそ4分の1は骨髄移植を行った。治療を中止した患者の多くは、維持療法期間中だった。

 寛解導入療法におけるグレード3以上の主な有害事象は、発熱性好中球減少症が5割弱、 ALT/AST上昇が約3割、敗血症が1割強の患者で見られた。地固め療法においては、グレード3以上の発熱性好中球減少症が3割強、ALT/AST上昇が1割強で確認された。同じJACLS ALL-02 HRのプロトコールで治療した小児患者の有害事象と比べ、グレード3以上の膵炎が若干多く見られたが、そのほかの有害事象は同じ傾向だった。

 湯尻氏は、「CR率が94%、5年OS率と5年DFS率が約7割と良好な成績が得られたことから、小児ALLの治療プロトコールは、フィラデルフィア染色体陰性の若年成人期のALL患者に対しても有用である可能性が示された」と語った。

 また、治療完遂例が5割弱だったことや有害事象が原因で治療中断した患者がいたことにも触れ、「今回は、ハイリスク患者の小児ALLプロトコールを使用したため、用量強度が高く、当然ながら有害事象の発現やそれによる治療中断例も発生する可能性が高かった。今後は、投与量を抑えた標準リスクの小児ALL患者のプロトコールをもとに検討する方向性になるだろう」とした。