関節リウマチ(RA)患者に合併したリンパ腫についての単施設の検討から、メトトレキサート(MTX)使用歴のある患者の予後は、使用歴がない患者と比べて予後が良好な傾向が示された。10月19日から21日まで京都市で開催された第74回日本血液学会学術集会で、神戸市立医療センター中央市民病院免疫血液内科の小野祐一郎氏が発表した。

 RAでは、MTXなどの強力な疾患修飾抗リウマチ薬(DMARDs)の早期導入や、抗TNFα薬などの生物学的製剤の使用が標準的治療となっている。RAに合併するリンパ腫は1978年以来多数報告され、MTX関連リンパ増殖性疾患(MTX-LPD)は、WHO分類第4版で「Other iatrogenic immunodeficiency-associated LPD(その他の医原性免疫不全に関連したリンパ増殖性疾患)」に分類されている。

 ただし、このようなリンパ腫の治療成績について、血液内科医による検討は少ない。そのため小野氏らは、RA患者における悪性リンパ腫の臨床的特徴を検討し、同院における治療成績を解析した。

 対象は、2004年1月から2012年10月までに同科で診療を行ったRAを合併した悪性リンパ腫患者27人のうち、RAに関する治療歴が把握可能だった25人(年齢中央値72歳、女性14人)。びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、非定型型(NOS)が13人で52%を占め、MTXは13人に投与されていた。これらの患者の生存率(OS)、臨床検査データ、治療中の有害事象を評価した。観察期間中央値は540日だった。

 OSについての単変量解析では、国際予後指標(IPI)、PS、MTXの使用歴の有無が予後因子となる可能性が示された。MTXの使用歴の有無による1年OSは、使用歴がある患者(使用群)で100%、使用歴のない患者(非使用群)で60%だった(p=0.0634)。

 そこでRAに関係する因子としてMTXの使用歴の有無に着目し、臨床的な特徴の違いを明らかにするためさらに検討を行った。使用群は13人(年齢中央値73歳、女性9人)、非使用群は12人(同68歳、5人)で、観察期間はそれぞれ348日と1194.5日だった。使用群と非使用群において、DLBCL、NOSはそれぞれ8人と5人、最も多かった病期はII期で両群で各5人、PS 2以上の患者は11人と6人、IPIが3点以上の患者は3人と2人で、いずれも両群に有意差はなかった。抗リウマチ薬は、使用群の8人、非使用群の4人に使用され、使用群で多い傾向にあった。

 リンパ腫に対する治療として、使用群では12人でMTXが中止され、中止されなかった1人には化学療法が行われた。非使用群では11人に化学療法が行われた。IgHやTCRの再構成についてモノクローナリティの有無を検討すると、使用群で9人(75%)、非使用群の5人(71%)に検出された。使用群の3人では、MTXの中止と経過観察のみで自然退縮が認められた。

 また、RAに合併するリンパ腫ではEBウイルスの再活性化が報告されているが、今回の検討では、EBウイルス小分子RNA(EBV encoded small RNA:EBER)陽性は、使用群8人、非使用群1人だった。

 臨床経過における有害事象として、グレード3以上の白血球減少、好中球減少が両群で70-80%に発現した。また赤血球鈍食症候群は使用群の2人(18.2%)に発生していた。

 早期死亡は、非使用群でPS 0-1およびPS 2-5の患者の各3人に発生したが、使用群では早期死亡はなかった。

 小野氏は「EBウイルスの影響とは別に、MTXそのものがリンパ腫の病態発生に影響していることが推定される」と話した。