慢性骨髄性白血病(CML)を対象としたニロチニブの特定使用成績調査(全例調査)で、新たな副作用はなく、ビリルビン関連事象が2割に見られたが、重症例は少ないことが確認された。また分子遺伝学的大寛解(MMR)は約57%であった。10月19日から京都市で開催された第74回日本血液学会学術集会で、秋田大学医学部血液内科学の高橋直人氏らが発表した。

 調査はニロチニブ(製品名:タシグナ)が発売された2009年2月から開始された。今回は2012年1月までの調査の結果が報告された。イマチニブ抵抗性の慢性期または移行期のCMLで、公表承諾が得られた303施設の640人のデータを解析した。安全性の評価対象は622人、有効性の評価対象は561人で、このうち慢性期CMLは522人(うち1人は初発CML)、移行期CMLは39人だった。

 患者の年齢中央値は66歳、イマチニブ抵抗性患者が45.5%、イマチニブ不耐容患者は47.6%を占めた。総投与期間の中央値は183日で、1年以上にわたってニロチニブ治療を受けた患者は24.3%だった。

 イマチニブ抵抗性患者の治療中止率は34.6%、イマチニブ不耐容患者での治療中止率は33.5%で、「ニロチニブの高い治療継続率が示された」と高橋氏は説明した。

 重点調査項目として8項目が設定されている。発疹が22.3%(重篤:2.3%)、心疾患が12.1%(同:4.2%)、体液貯留が9.3%(同:3.1%)、肝機能障害悪化が2.9%(同:0.3%)、腎機能障害悪化が2.9%(同:0.8%)、感染症が2.6%(同:1.8%)、出血が1.6%(同:1%)、間質性肺炎が1.4%(同:1.4%)だった。

 重点調査項目以外で認められた副作用は全体で76.4%で、ほとんどが検査値異常であった。主な血液毒性は、血小板減少14.8%、貧血8.2%、白血球減少6%で、非血液毒性では、血中ビリルビン増加10%、リパーゼ増加が9%などだった。

 ビリルビン関連事象は、血中ビリルビン増加のほか、高ビリルビン血症(3.9%)や黄疸(1%)など、合計で114人(18.3%)に認められた。発現までの期間は2週以内が最も多く、3カ月までに85%の患者で見られた。

 総ビリルビン最高値(CTCAE v4.0-JCOG)がグレード3の患者は25人(5.1%)で、25人のうちグレード3のALT上昇は2人、AST上昇も同等の結果だった。さらに全体ではグレード3以上のALT上昇は3.1%であり、「治療中止となる重症の症例は少ない」とした。

 慢性期CML患者における累積MMR率は57.2%であり、MMR達成までの期間中央値は112.5日だった。また慢性期CML患者で病期進行が見られた患者は1.9%であった。