未治療限局期鼻NK/T細胞リンパ腫(NKTCL)に対し、ファーストライン治療として放射線療法と化学療法(DeVIC療法)を同時に開始する同時化学放射線療法(RT-DeVIC療法)を前向きに検討したフェーズ1/2のJCOG0211-DI試験から、5年間の追跡結果が報告された。その結果、RT-DeVIC療法の生存と病勢コントロールに対する有用性は5年以上維持されていることがわかった。10月19日から21日まで京都市で開催された第74回日本血液学会学術集会で、三重大学医学部附属病院血液内科の山口素子氏が発表した。

 山口氏らはJCOG0211-DI試験において、未治療限局期鼻NKTCLでAnn Arbor病期分類IE期または頸部リンパ節浸潤のIIE期の患者を対象に、RT-DeVIC療法を検討した。追跡期間中央値32カ月の初回解析から、2年全生存率(OS)は78%、無増悪生存率(PFS)は67%で、安全に施行可能だったことを報告している(M. Yamaguchi, et al. J Clin Oncol 2009;27(33):5594-5600)。

 ただし、NKTCLに対する同時化学放射線療法の長期の有効性と毒性は明らかになっていない。そのため山口氏らは、長期の有効性と遅発性有害事象を評価するため、JCOG0211-DI試験に登録された患者の長期転帰を解析した。長期追跡調査の評価項目は、5年OS、5年PFS、5年計画標的体積内腫瘍制御(PTV)率、毒性などだった。

 DeVIC療法の用量は、同試験のフェーズ1の部分で次の2つが検討された。「2/3DeVIC療法」:デキサメタゾン40mg/日、エトポシド67mg/m2、イホスファミド1.0g/m2をそれぞれ1日目から3日目まで、カルボプラチン200mg/m2を1日目に投与。「100%DeVIC療法」:2/3DeVIC療法の用量から、エトポシドを100mg/m2、イホスファミドを1.5g/m2、カルボプラチンを300mg/m2に増量して投与。その結果、フェーズ2の部分には2/3DeVIC療法が選択され、3週毎に繰り返した。放射線療法の総線量は50-50.4Gyとした。

 2003年9月から2006年12月までに33人(年齢中央値54歳、男性58%)が登録され、IIE期の患者は33%だった。頸部リンパ節浸潤は33%、B症状は36%、LDHの上昇は21%で認められた。27人に2/3DeVIC療法、6人に100%DeVIC療法が行われた。

 今回の長期追跡調査では、2011年12月に最新化されたデータが使用された。追跡期間中央値は68カ月だった。5年OSは73%(95%信頼区間:54-85)、5年PFSは67%(95%信頼区間:48-80)となった。RT-2/3DeVIC療法が行われた27人の5年OSは70%(95%信頼区間:49-84)、5年PFSは63%(95%信頼区間:42-78)だった。
 
 放射線療法のみが行われたヒストリカルコントロールは、JCOG0211-GI試験の対象と比べて年齢が若く、頸部リンパ節浸潤やB症状の発現が少なかったが、5年OSは40%だった。
 
 JCOG0211-GI試験では11人に増悪(PD)または再発を認めたが、このうち2人はサルベージ治療を受け、生存中である。初回解析以降にPDを認めた患者はいなかった。また照射部位の再発を認めたのは2人のみで、5年PTV率は94%となった。
 

 放射線療法に関連する遅発性有害事象として、RT-2/3DeVIC療法を受けた1人(3%)に鼻の皮膚の穿孔が発生し、形成術を要しグレード4とされたが、この患者は治療前に鼻の皮膚と皮下組織に大きな浸潤を認めていた。またRT-100%DeVIC療法を受けた1人(3%)にグレード3の月経不順が発現し、3年間持続した。その他のグレード3以上の遅発性有害事象は観察されなかった。
 
 また放射線療法に関連し、11人(33%)にグレード2以下の眼の遅発性有害事象が発現したが、白内障以外で眼科手術を要した患者はいなかった。ただし、5人は最終の追跡時にも改善せず、このうち4人はRT-100%DeVIC療法を受けていた。これらの有害事象から、放射線療法との同時併用では100%DeVIC療法は適切ではないと考えられた。グレード3または4の放射線療法に関連しない遅発性有害事象は観察されなかった。
 
 山口氏は今回の結果から、「RT-2/3DeVIC療法は限局期鼻NKTCLのファーストライン治療として、最も推奨できる選択肢の一つと考えられる」と話した。