チロシンキナーゼ阻害薬で治療中の慢性骨髄性白血病(CML)患者において、新たな予後予測スコアとして報告されている「EUTOSスコア」の有用性を検討した結果、有意差は示されなかった。一方、従来の予後予測スコアであるSokalスコア、Hasfordスコアについては、治療効果や予後予測スコアとして、有用である可能性が示された。横浜市立大学大学院の山本恵理氏が、10月19日から京都市で開催された第74回日本血液学会学術集会で発表した。

 現在、CMLの予後予測スコアとしてはSokalスコア、Hasfordスコアが知られているが、両方ともチロシンキナーゼ阻害薬(TKI)による治療が標準化する前に確立された予後予測スコアだ。こうした中、昨年には、TKIを中心としたCML治療の新しい予後予測スコアとしてEUTOSスコアが提唱された。EUTOSスコアは、(7×好塩基球数:%)+(4×脾臓の大きさ:cm)で算出されるもので、87以下を低値群、87超を高値群と定義する。従来の予後予測スコアと比べ、計算式が簡易であることも特徴だ。

 今回、山本氏らは、EUTOSスコアの有用性を検討した。

 対象は、2001年4月から2011年1月に横浜市立大学関連7施設において診断され、初期治療でTKIを投与された初発慢性期CML患者146人。TKI投与前にIFN-αを投与された患者は除外した。観察期間中央値は56.9カ月(8.8-130.2カ月)。

 患者背景では、EUTOS高値群(16人)は、低値群(130人)と比べ、有意に若年だった(40.5歳 対 56歳)ほか、脾腫のある患者の割合が有意に高かった。
 
 EUTOSスコアにおける治療効果と予後に関する項目との関係を調べた結果、12カ月・18カ月の細胞遺伝学的完全寛解(CCyR)率、12カ月・18カ月の分子遺伝学的寛解(MMR)率、3年無再発生存(EFS)率、3年無増悪生存(PFS)率、3年全生存(OS)率のいずれの項目においても、EUTOSスコア高値群と低値群との間に有意差は認められなかった。

 同様に、Sokalスコア(低値群、中間値群、高値群)と治療効果・予後との関係を調べたところ、12カ月CCyR率、18カ月CCyR率、3年EFS率、3年PFS率において有意差が認められた。Hasfordスコア(低値群、中間値群、高値群)においては、12カ月CCyR率、18カ月CCyR率、3年EFS率、3年PFS率、3年OS率において有意差が見られた。

 これらの結果から山本氏は、「EUTOSスコアは治療効果および予後を予測するスコアとして有意差は示されなかった。一方、Sokalスコア、Hasfordスコアは、TKIによる治療が標準化した現在でも、治療効果予測スコアとして有用であった。今後、EUTOSスコアの有用性については、多施設多症例での検討が必要と考えられる」と語った。