血清チミジンキナーゼ(TK)活性は、多発性骨髄種の予後予測因子となりうる可能性が報告された。TKが10 U/L以上の患者は、10 U/L未満の患者に比べ、予後不良だった。10月19日から京都市で開催された第74回日本血液学会学術集会で、広島赤十字・原爆病院血液内科の板垣充弘氏が発表した。

 TKは、細胞の増殖活性指標の1つとして考えられており、これまでの報告で、悪性リンパ腫や成人T細胞性白血病/リンパ腫、慢性リンパ性白血病において、有用な予後予測因子であることが知られている。そこで板垣氏らは、多発性骨髄種患者におけるTK活性測定の有用性を検討した。

 対象は、2004年から2009年に同院で新規発症した未治療の多発性骨髄種患者129人。年齢中央値は71歳、ISS分類法による病期分類はIが58人、IIが44人、IIIが27人。TK活性は9.8 U/L(範囲:2.2-500 U/L)だった。

 TKが10 U/L未満の患者をTK正常群(68人)、10 U/L以上の患者をTK高値群(61人)と定義し、両群間の患者背景を検討した。

 その結果、TK高値群は、臨床病期IIIやISS病期分類IIIの患者数が多かったほか、ヘモグロビン値は有意に低かった。また、増殖活性を示すマーカーとして知られる乳酸脱水素酵素(LDH)活性、尿酸(UA)、β2ミクログロブリン(β2MG)値は、TK正常群に比べて有意に高値だった。

 多変量解析により、多発性骨髄腫患者における有意な予後予測因子を検討したところ、TK活性(ハザード比1.003、95%信頼区間:1.000-1.006、p=0.014)、血小板値(ハザード比0.96、95%信頼区間:0.93-0.99、p=0.013)が抽出された。

 5年生存率は、TK正常群が66%だったのに対し、TK高値群が32%と有意に低かった(p<0.001)。臨床病期III期の患者に限っても、TK正常群の5年生存率は62%、TK高値群は18%と有意差が認められた(p<0.05)。

 さらに、TK活性値別の生存曲線により、TKが40 U/L以上の患者は明らかに予後不良だった。TKが40 U/L以上の患者は、40 U/L未満に比べ、染色体異常やFISH法による検査で異常を認める割合が高かったほか、形態学的観察で未熟型や芽球型の骨髄腫細胞割合が増加していたことから、細胞増殖活性が高いことが示唆された。

 これらの結果から板垣氏は、「TK活性は多発性骨髄腫患者でも独立した予後予測因子になる可能性が示唆された。TKが40 U/L以上の症例は特に予後不良であり、40 U/L未満の患者と区別して治療を行う必要がある」と指摘した。