日本人の鉄過剰症患者に対する鉄キレート剤デフェラシロクスによる治療について、2年間の追跡結果から安全性が確認されたほか、鉄濃度と血清フェリチン値をおよそ半分に減少させる効果が示された。フェーズ2試験の日本人サブ解析について、10月19日に京都市で開幕した第74回日本血液学会学術集会で、旭川医科大学の高後裕氏が発表した。

 デフェラシロクスは輸血による慢性鉄過剰症に対する経口鉄キレート剤で、体内に蓄積された鉄を排出させる効果が示されており、2008年から発売されている。

 今回発表したデータは、昨年の米国血液学会で発表されたグローバルフェーズ2試験(ICL670A2204)の日本人サブ解析。日本人は53人が登録され、グローバルデータ全体の52%を占めている。安全性データについては、さらに1年間延長してデータを収集し、投与2年後のデータを発表した。
 
 試験登録基準は、2歳以上、低・中リスクの骨髄異形成症候群やそのほかの先天性または後天性の貧血(β-サラセミアと鎌状赤血球貧血は除外)による輸血後の鉄過剰症で、総輸血量が40単位以上または血清フェリチンが1000μg/L超の患者とした。

 デフェラシロクス開始投与量は、直近の輸血量により決定しており、1カ月の輸血量が4単位未満だった患者は1日投与量を10mg/kg、4-8単位の場合は20mg/kg、8単位超の場合は30mg/kgとした。その後、体重、血清フェリチン、皮疹、肝機能、血清クレアチニンのデータに基づき、投与量を調整した。

 主要評価項目は、投与開始時と投与1年後の肝臓鉄濃度(LIC)で、MRI撮像データをもとに特別な解析ソフト(Ferriscan)を用いて算出した。

 患者背景は、平均年齢が60歳、平均LICは28.2±16.25mg Fe/g dw、血清フェリチン値は3450ng/mL。LICが15mg Fe/g dw以上だった患者は75.5%、血清フェリチンが2500ng/mL超の患者は69.8%を占めた。

 主要評価項目である投与1年後の平均LIC変化量は、-13.9mg Fe/g dwで、平均相対変化量は-50.2%だった。登録時が27.5mg Fe/g dw、投与1年後が13.6mg Fe/g dwで、有意に減少した(p<0.05)。

 デフェラシロクス投与量別のLIC相対変化量は、1日15mg/kg未満群(13人)が-40.2%、15mg/kg以上25mg/kg未満群(16人)が-56.2%で、有意な減少が確認された(p<0.05)。25mg/kg以上35mg/kg未満群(2人)は-67.5%だったが、有意差はなかった。

 また、血清フェリチン値の平均減少量は-1600ng/mL、相対変化量中央値は-49.0%で、登録時が3370ng/mL、投与1年後が1820ng/mLと有意に減少した。LICと血清フェリチン値の間には相関関係が認められ(相関係数は0.524)、血清フェリチン値が減少するとともにLICも減少した。

 次に、2年間の安全性データの解析結果では、53人の患者のうち、66%(35人)が1年間の治療を完遂したことが示された。デフェラシロクス投与期間中央値は96.4週で、患者の50.9%が96週以上投与可能だった。1日投与量中央値は15.5mg/kgで、患者の45.3%が15mg/kg未満、49.1%が15mg/kg以上25mg/kg未満だった。

 およそ8割の患者で、薬剤との関連が疑われる有害事象が少なくとも1つ以上確認された。主な有害事象は、クレアチニン値の上昇が35.8%、腎機能障害が17.0%。

 薬剤との関連が疑われる重大な有害事象は6人で見られ、最も多かったのが過敏症(3.8%)だった。5人の患者が死亡したが、4例は治療と関係ないと判定された。

 これらの結果から高後氏は「デフェラシロクスは、日本人の輸血による鉄過剰患者に対し、非常に高い有効性を示し、LICと血清フェリチン値を約50%減少させた。また、安全性プロファイルもこれまでの報告と一致した」とまとめた。