成人特発性血小板減少性紫斑病(ITP)患者に対する摘脾術は安全で、ステロイド抵抗性慢性ITPに対して有効であることが、単施設の30年間、34例の後ろ向き解析から示された。10月14日から名古屋市で開催された第73回日本血液学会で、筑波大学血液内科の大越靖氏が発表した。

 解析の対象は、1976年から2010年までに筑波大学病院で治療を受けた成人のITP患者205例のうち、摘脾術を施行された58例から、18歳以下、カルテ情報が不十分なケース、脾摘術後2カ月未満の患者を除いた34例。観察期間は初診時から2011年2月末までとした。

 解析対象患者は、37歳(20-79歳)、男性14例、女性20例、ITP診断から摘脾までの期間は356日(51-2224日)、摘脾術施行を決めた時点での血小板数は2万1000/μL(3000-13万5000)、開腹術施行例は30例(87%)だった。

 摘脾術を実施した理由は、血小板数3万/μL以上を維持するあるいは出血傾向を抑制するためにコルチコステロイドを2カ月以上投与継続するという定義によるステロイド依存が26例(76%)、前治療の効果不十分が4例(12%)、その他が4例だった。

 摘脾術が施行された時期は、1990〜1994年が8例と最も多く、次いで1980〜1984年の7例で、2000〜2004年は3例、2005〜2010年は4例だった。

 完全奏効(CR)を摘脾術2カ月後の血小板数10万/μL以上、出血傾向なし、ステロイド不要とし、部分奏効(PR)を血小板数3万/μL以上が2回以上、出血傾向なし、ステロイド不要と定義して摘脾術の有効性を評価した。その結果、CRは16例(47%)、PRは8例(24%)、奏効率71%だった。摘脾術後の観察期間は89カ月(2.4-396カ月)だった。

 摘脾術2カ月以内の有害事象のうち、グレード3だったのは4例で、1カ月間のドレナージ、腹部膿瘍、AST/ALT上昇だった。

 摘脾術が奏効した24例(レスポンダー群)と奏効しなかった10例(非レスポンダー群)に分けて解析した結果、非レスポンダー群は男性が多く、レスポンダー群は診断時の血小板数が1万9000/μLと非レスポンダー群の1万3000/μLよりも高く、摘脾術施行決定時の血小板数もレスポンダー群は2万6000/μLと非レスポンダー群1万1000/μLより高く、摘脾術までの治療期間、診断時から摘脾術までの期間はそれぞれ非レスポンダー群に比べてレスポンダー群は約2倍となる396〜465日(中央値)で有意に長かった。

 なお、死亡例はいなかった。