多発性骨髄腫(MM)に合併する、治療関連の骨髄異形成症候群(MDS)/急性骨髄性白血病(AML)(t-MDS/AML)は予後不良であり、治療抵抗性であることが、13年間のMM患者の検討から示された。今回の検討では、合併とメルファランの積算量との関連は明らかにはならず、合併前にレナリドミドの投与を受けた患者はいなかった。10月14日から16日まで名古屋市で開催された第73回日本血液学会学術集会で、日本赤十字社医療センター血液内科の阿部有氏が発表した。

 MMにt-MDS/AMLを合併することは稀ではなく、骨髄検査でt-MDS/AML合併前に染色体異常を捉えることも多い。主な原因として、アルキル化剤のメルファランが挙げられ、近年ではレナリドミドとの関連も考えられている。

 阿部氏らは、同センターでMMの治療経過中にt-MDS/AMLを合併、またはt-MDS/AMLに関連する新たな染色体異常(CAs)を認めた患者について、患者背景、MMやt-MDS/AMLの特徴、染色体異常、治療の経過、予後などを検討した。
 
 t-MDS/AML関連の染色体異常として、−5/5q、−7/7q−、der(1;7)、+8、13q−、20q−などを過去の報告から対象とした。MM発症時からこれらの異常を認める患者は除外したが、経過中に新たに別の異常が出現した場合は含めることとした。

 1998年から2010年の13年間にMMと診断され、治療を受けた患者のうち、骨髄および染色体分析(G-band法)の記録がある325人を分析した結果、t-MDSは12人(3.7%)、t-AMLは5人(1.5%)、CAsは11人(3.4%)に認められた。MM発症年齢はそれぞれ67.7歳、59.0歳、61.0歳で、MM発症から合併までの期間の中央値はそれぞれ76.7カ月、52.4カ月、51.1カ月、メルファランの積算量の中央値はそれぞれ731mg、309mg、464mgだった。

 t-AMLを合併した患者では、合併後の治療として、ダウノルビシン(DNR)/シタラビン(AraC)、ミトキサントロン(MIT)、VAD(ビンクリスチン、ドキソルビシン、デキサメタゾン)、サリドマイド、レナリドミドなどによる治療に加え、5人中2人が自己幹細胞移植(ASCT)を受けたが、5人とも1〜16カ月で死亡した。

 CAs/t-MDS/t-AMLの染色体異常は、t-MDSでは−7/7q−が4人、−5/5q−が3人、t-AMLでは−7/7q−が3人、CAsではder(1;7)が3人に認められ、頻度が高かった。
 
 MM発症からの期間とCAs/t-MDS/t-AMLの累積合併率は、全体では上昇を続け、発症から10年目に8%となった。阿部氏は「新薬の登場により、MMの生存期間が延長してきており、t-MDS/AMLを合併する患者は今後さらに増加すると考えられる」と話した。
 
 今回の検討では、多くの患者でメルファランの積算量が300mgを超えていたが、200mg以下でもt-AMLが2人に発症し、メルファランの積算量との関連は明らかにはならなかった。また、CAs/t-MDS/t-AML合併前にレナリドミドを投与された患者はいなかった。

 また、過去の報告と同様に、t-AML患者全員にMMとは別のクローンが出現していると考えられた。阿部氏は「MMとMDS/AMLのいずれにも認められる染色体異常や複雑核型では、どちらのクローン由来かで予後や治療方針が変わりうる。t-MDS/AMLの合併も考慮しておくことが重要」と話した。