日本人の骨髄異形成症候群(MDS)患者を対象とするDNAメチル化阻害剤decitabineのフェーズ1/2試験がThe Japanese Decitabine Study Groupによって行われ、結果が10月14日から16日まで名古屋市で開催された第73回日本血液学会学術集会で発表された。フェーズ1試験では、デシタビン20mg/m2の1時間かけての持続静注を5日間連日で行い、4週ごとに繰り返した場合、忍容可能であることが示された。続くフェーズ2試験では、この用量における有効性と、毒性が忍容可能な範囲であることが示された。

 このフェーズ1/2試験は、2008年10月から2011年3月まで行われ、解析は最後の患者が登録されてから1.5年後に行われた。
 
 フェーズ1試験の部分は、国立がん研究センター中央病院血液腫瘍科の小林幸夫氏が発表した。

 主要評価項目は、decitabine単剤の安全性と忍容性だった。用量制限毒性(DLT)は1サイクル目に評価、グレード3以上の非血液毒性とし、有熱性の好中球減少とグレード3以上の好中球減少に関連する感染で治療サイクル中に改善した場合は除外した。

 decitabineの用量は、レベル1では15mg/m2、レベル2では20mg/m2とし、1時間かけての持続静注射を5日間連日して行い、4週ごとに繰り返した。

 9人が登録され、レベル1には3人、レベル2には6人を割付けた。FAB分類による内訳は、不応性貧血(RA)3人、芽球増加型不応性貧血(RAEB)2人、急性骨髄性白血病(AML-M6)2人、鉄芽球性不応性貧血(RARS)1人、芽球の割合が20%以上の芽球増加型不応性貧血(RAEB-T)1人だった。MDSの7人では、国際予後判定システム(IPSS)のHighが1人、Int-1とInt-2が各3人だった。

 レベル1、2ともに1サイクル目にDLTは認められず、その後はDLTが各レベルで1人ずつに認められた。フェーズ2試験のdecitabineの推奨量は20mg/m2となった。

 血液毒性では、レベル1、2とも、3または4サイクル目以降に好中球減少や血小板減少などの骨髄抑制の症状がほぼ全例に発現した。非血液毒性の多くは好中球減少に伴うもので、血糖値上昇が2サイクル目以降に1人に発現した。肺炎で1人が死亡した。
 
 1サイクル目では、レベル1、2ともに投与終了後に急速な半減期を迎え、血中からの速やかな消失が観察された。また、末梢血におけるDNAのメチル化をLong interspersed element 1(LINE1)で観察すると、20mg/m2でより強い抑制能が検出された。
 
 完全寛解(CR)、部分寛解(PR)、血液学的な改善効果(HI)のいずれかがみられたのは、レベル1では2人(66.7%)、レベル2では3人(50.0%)だった。

 同試験のフェーズ2試験の部分は、名古屋第二赤十字病院血液・腫瘍内科の笠井雅信氏が発表した。

 フェーズ2試験の主要評価項目はCRとPRを合わせた全寛解率だった。

 34人が登録され、このうち二次性MDSの患者は5人だった。FAB分類による内訳は、RA11人、RARS 1人、RAEB 14人、RAEB-T 7人、AML-M6 1人だった。MDSの33人では、IPSSのHighが14人、Int-1が10人、Int-2が8人、Lowが1人だった。

 全例がdecitabineを推奨量の20mg/m2で5日間、4週毎に投与され、治療サイクル数は中央値で6(範囲:1〜22)だった。

 IWG 2000 criteriaによる評価では、CRは20.6%、PRは5.9%、HIは14.7%に認められた。全寛解率は26.5%で、HIを合わせると41.2%となった。寛解までの期間の中央値は130日、寛解持続期間の中央値は474日だった。寛解が得られた患者の全生存期間(OS)は中央値に未到達で、寛解が得られなかった患者のOSの中央値は416日となった。

 細胞遺伝学的効果の評価が可能だった20人では、効果は計7人(35%)に認められた。

 decitabineに関連するグレード3以上の血液毒性では、白血球減少、血小板減少、好中球減少などが患者の78%以上に発現した。グレード3以上の非血液毒性では、感染(29.4%)、肺炎(23.5%)、有熱性の好中球減少(23.5%)など、好中球減少に伴う事象が多く観察され、肺炎で2人(5.9%)が死亡した。AST上昇や血糖値上昇(各2.9%)なども発現した。

 笠井氏は今回の結果から、「decitabineの投与を継続することで治療効果が維持され、MDS患者の予後の改善につながる可能性が示された」と話した。