悪性リンパ腫に対するR-CHOP療法リツキシマブ、シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、プレドニゾロン)について、relative dose intensity(RDI)が長期予後に与える影響をレトロスペクティブに検討した結果、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)ではRDIが全生存率(OS)と無増悪生存率(PFS)に影響し、濾胞性リンパ腫(FL)では比較的少数の検討だったものの、PFSに対する影響はDLBCLと同様に認められることが示された。10月14日から16日まで名古屋市で開催された第73回日本血液学会学術集会で、大垣市民病院血液内科の兼松毅氏が発表した。

 高悪性度リンパ腫ではR-CHOP療法の治療強度を保つことの重要性が報告されているが、濾胞性リンパ腫(FL)では最適治療強度に関する報告はない。兼松氏らは、R-CHOP療法のRDIが予後に与える影響について、レトロスペクティブに検討した。

 対象は、2003年1月から2010年12月の8年間に、同院で新たにFLのgrade1、2、3aと診断された患者67人のうち、初発時治療としてR-CHOP療法が計画・実施され、RDIの解析が可能だった52人。

 参考として、先に報告されたDLBCLの患者124人(同期間に診断され、R-CHOP療法による初発時治療が計画・実施された解析可能症例)の結果を用いた。

 average RDI(ARDI)は、シクロホスファミドとドキソルビシンの実際の投与量と計画された投与量から算出した。

 FLの52人の年齢中央値は58歳、観察期間中央値は31.9カ月、ARDI中央値は89.4%だった。52人中、進行期は47人で、このうち8人は70歳以上だった。DLBCLでは、それぞれ71歳、23.8カ月、89.6%だった。

 DLBCLでは、ARDI 85%以上の患者(71人)のOSとPFSは、ARDI 85%未満の患者(53人)と比較して有意に改善した(それぞれp<0.0001、p=0.0002)。一方、FLではOSには差がなかった(p=0.6125)が、PFSはARDI 85%以上の患者(32人)でARDI 85%未満の患者(20人)よりも改善した(p=0.0471)。
 
 FLには濾胞性リンパ腫国際予後指標(FLIPI)、DLBCLには国際予後指標(IPI)を用いて、予後リスクの各群におけるARDIのPFSに対する影響も検討された。DLBCLでは、高リスクまたは高中間リスクの場合、ARDI 85%未満の患者と比較して、ARDI 85%以上の患者で有意にPFSが改善した(p=0.0004)。低または低中間リスクの場合、有意差はなかった。FLでは、高リスク、低リスクまたは中間リスクのいずれにも有意差はなかった。

 RDI低下の理由についても検討された。FLでは、治療段階での減量は1人(1.9%)、治療途中での何らかの理由による延期・減量は25人(48.1%)、DLBCLではそれぞれ7人(5.6%)、62人(50.0%)だった。理由では感染が最も多く、FLで18人、DLBCLで34人に認められた。
 
 R-CHOP療法を6コース終了した患者で、感染によるRDI低下の要因を検討すると、DLBCLでは年齢とアルブミン値(<3.5g/dL)が有意な因子となり、外来治療リスクスコア試案が考案されたが、FLではこのような因子は認められなかった。
 
 兼松氏は、「今回の解析は比較的少数であり、FLの年齢分布が若年に偏り、単変量解析であるため限界があるが、FLにおけるRDIとPFSの意義を示すことができたと考える。今後、規模を拡大して検証する必要がある」と話した。