イマチニブによる治療を受けた新規の慢性骨髄性白血病 CML)患者の予後は極めて良好だが、治療反応が遅いlate responderが欧米に比べて多いことが、日本血液学会が運営するイマチニブ使用症例のオンライン登録システム「TARGET」の解析で明らかになった。名古屋市で10月14日から開催された第73回日本血液学会学術集会で、東京医科大学第一内科の田内哲三氏らが発表した。

 TARGETは、日本血液学会によって運営されるイマチニブ使用症例のオンライン登録システムで、血液専門医が臨床データを共有することでCML診療の質の向上を目指す目的で設立された。田内氏はまずTARGETの意義について、「厳格な適格基準によって選別される臨床試験からは、一般臨床の成績と異なる結果が得られる可能性がある。しかし疾患登録システムであるTARGETでは、日常臨床の成績をより反映できると考えられる」と話した。

 TARGETには2003年10月から2010年3月までに1235人が登録された。このうち、治療歴がない新規のCML慢性期の639人について解析された。年齢中央値は53.6歳(16-90歳)、男性が62.8%を占めた。診断から投与までの期間中央値は1カ月(0〜9.6カ月)で、イマチニブは8割以上の患者で300mg/日以上が投与されていた。

 90カ月の時点での生存率は95.1%と高く、無増悪生存(PFS)率は94.5%、無イベント生存率は79.1%だった。

 細胞遺伝学的完全寛解(CCyR)は12カ月の時点で62.2%だったが、72カ月では94.2%と高くなり、「日本人では3割以上がlate responderである」とした。また18カ月でのランドマーク解析の結果、CCyRが得られている患者では、PFSは下がらないことが示された。

 分子遺伝学的寛解(MMR)の患者は84カ月時点で315人。この約7割で分子遺伝学的完全寛解(CMR)が得られている。12カ月および18カ月でのランドマーク解析では、各時点でMMRが得られていなくても、その後、分子遺伝学的寛解を獲得していることが示され、「分子遺伝学的寛解到達に関しても、本邦ではlate responderが多い」とした。

 血液毒性は軽度で、グレード3/4の有害事象は、好中球減少が8.8%、血小板減少が8.8%、貧血が1.4%。非血液毒性ではグレード3/4の有害事象は肝機能異常が2.3%、皮疹が3.1%、浮腫が1.1%、嘔気が0.6%だった。

 Late responderが日本で多い原因として、「毒性のため用量を下げてしまうことが推測される」と田内氏は話した。またTARGETの登録症例は日本のイマチニブ使用症例の約1割程度であり、入力は一症例あたり20-30分を要するなどの課題があるとした。

 日本血液学会では昨年4月から「新TARGET」を開始している。CML治療のレベル向上のため、学会主導のCML の観察研究として、学会員にウエブ上で得られた情報の提供、微小残存病変(MRD)測定やイマチニブの血中濃度測定、BCR-ABL 遺伝子変異の検索などの検査の機会の提供を行う。